プロジェクト紹介

シロチドリ繁殖状況調査


調査状況


◯2014年・2015年のシロチドリの繁殖期の確認状況)


植生がない営巣環境

植生の多い営巣環境

礫の多い営巣環境(笠原里恵さん提供)

◯擬傷行動
 営巣地やヒナに近づくと親鳥は侵入者の気を引こうと傷ついたフリをします。
 広い砂浜で巣を踏むことはめったにありませんが、足元の卵に気をつけてください。
 ヒナは歩けるので、人が近づくと逃げます。踏まれるようなことは、まずありませんが草の陰や小さな窪みにジッとしていることがあります。
 擬傷行動を見かけたら、そっと迂回しましょう。
擬傷行動する親鳥(バタバタしたり、うずくまってジットしています)
砂地と同化してやり過ごそうとするヒナ動きません。


◯2014年の調査まとめ
 2014年は、16名の情報提供者から、青森県から長崎県まで38ヶ所の情報を寄せてもらい、調査の総延長は、42.5kmになりました。そのうちシロチドリが確認できたのは33ヶ所でした。シロチドリがいた最も狭い海岸は、200mの砂浜長に10m幅の場所にあり、そこは人工海浜でした。都市部であるため、他に適地が少なく選択されたのかもしれません。自然海岸では、長400m×幅15mの砂浜が最も狭い場所でした。繁殖していた地形は、砂浜・砂州のほか、河原・中洲、埋立地などでシロチドリの報告があり、約76%が砂浜・砂州でした。土質は、砂地に礫が多少混ざった場合と、砂のみの場合を合わせ約8割を占め、やはり砂地を好むようです(図)。しかし、礫や貝殻などの大きめの基質が大半を占めている巣もありました。
図.
シロチドリの営巣環境.砂地が多く、植生はまばらにある場合が多い。(n=33)

 



 植生は、まばらにある場合が約7割でした。実際にコウボウムギやハマヒルガオの植生の近くで営巣し、また、漂着ゴミの近くもよく利用されていました。卵の捕食に対抗するには物陰のほうがよりよいのでしょうか。また、砂浜には早春から、サーファー、遊漁者や漁業関係、散歩など多くの人が訪れています。人の多さは、営巣地の選択としてはあまり関係がないようなのですが、海水浴場や海辺へのアクセス路付近など人の通りが多いところに営巣はなく、やや離れたところにある傾向がありました。人通りのあるところは、踏みつけにあったり、撹乱されたりと繁殖活動の維持は難しいと考えられます。 また観察していた九十九里浜では、調査期間の4月から8月まで通して抱卵中の繁殖ステージが観察されました。3週間ほどの抱卵期間を天敵から無事乗り切るのは難しく抱卵を繰り返しているのではないかと考えられます。


九十九里浜 2014/6/1 シロチドリ 抱卵中のメス 
昼間は主にメスが抱卵し、夕方からオスに交代した。


九十九里浜 2014/5/11 シロチドリペア(昨年)


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