プロジェクト紹介

シロチドリ繁殖状況調査


シロチドリは今?


 シロチドリは、チドリ目チドリ科に属するヒバリ大ぐらいの鳥です。
 背中は淡褐色で、腹部は白く、額から目の上(眉斑)が白色です。足が長いので、立っているような姿勢に見えます。クチバシは短く、大きな目で餌を探していて、干潟にしばらく留まっては、さっと走り出して餌をつまんで捕らえます。
 ほぼ全国で繁殖しますが、北方の個体は冬期に南方へ移動してしまうことが多いようです。本来、砂浜や砂州で繁殖することが多いのですが、造成中の埋め立て地などの砂礫地でも繁殖します。巣は、貝殻や小石など集めた簡素な巣を地面につくり、3個ほどの卵を産みます。
  
○シロチドリの現状
 シロチドリの個体数は、1974-85年から2000-03年の間の変化率をもとめた報告では、春期で-75%、秋期で-88%と極端に減少しています(天野,2006)。また、近年のシロチドリの傾向をモニタリングサイト1000の調査による春期、秋期、冬期での一斉調査期間のデータでみると減少傾向にあり、大きく増加する傾向にはありません(図1)。原因としては,繁殖場所となる砂浜の減少のほか、生息地のレジャー利用による人やペットの接近、車両による営巣地の撹乱、ノイヌやカラスなどによる捕食などが繁殖失敗の要因としてあげられています。
 そのような状況で、2012年8月、第4次のレッドリストの改訂が環境省から発表され、シロチドリは絶滅危惧Ⅱ類に指定されました。また、各県のレッドデータでも絶滅が危惧される種として記載されるようになってきています(表1)。これは大きな成果とも言えますが、危機的な状況が認識されたに過ぎません。今後、効果的に保全を行なっていくには、繁殖するための条件や優先的に保全すべき場所を抽出し保全していく必要があります。
 しかしながら、全国的な生息状況については、2002年の鳥類繁殖分布調査(第6回自然環境保全基礎調査:環境省)以降実施されておらず、最新の状況を把握していく必要があります。

図1 シロチドリの季節別の個体数の経年変化.

調査期間中の最大渡来数(春期:4月中旬,秋期:9月初旬,冬期:1月中旬)
全体は全ての調査地の合計、継続は連続してカウントしている調査地のみ合計.(環境省 2019)

  
表1 各県のシロチドリのレッドリスト記載状況
絶滅危惧Ⅰ類相当 
千葉県、三重県
絶滅危惧Ⅱ類相当 岩手県、栃木県、東京都、神奈川県、静岡県、石川県、福井県京都府、大阪府、徳島県、山口県
準絶滅危惧相当  秋田県、山形県、茨城県、群馬県、山梨県、愛知県、岐阜県、富山県、和歌山県、香川県、島根県、福岡県、大分県、長崎県、宮崎県、沖縄県

参考文献 天野一葉(2006)干潟を利用する渡り鳥の現状。地球環境Vol.11,No2(215-226)
     環境省生物多様性センター.2019.モニタリングサイト1000 データファイル「モニタリング1000シギ・チドリ類調査」:
        ホームページ 2019.01.01 http://www.biodic.go.jp/moni1000/findings/data/index_file_shorebird.html).


シロチドリ類調査の一部は、コンサベーションアライアンスジャパンから2016年に助成を受けています。

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