プロジェクト紹介

シギチドリ繁殖モニタ



― タマシギについて

●全長23.5cm。雌が雄より鮮やかな色をしている。中型のシギ。水田などの農地や湿原に周年生息し、一部は短距離の渡りを行うと考えられる。
●繁殖期は4月〜10月。一妻多夫制の社会システムで繁殖し、メスは産卵をすませると、別のオスに求愛する。抱卵・育雛はオスのみが行う。湿地の植生のある部分に草本などを利用して皿状の巣を作る。一腹卵数は3〜6個で通常4個。雌は、繁殖期の夜間に「コーッ、コーッ」と鳴く。
【タマシギの鳴き声:兵庫県】(Recorded by 黒田治男)
●早朝や夕方など薄暗い時間帯に活動する。水中に嘴を入れ左右に動かしたり、泥中に入れたりして探餌する。貝類、環形動物、甲殻類、昆虫類、種子などを餌として利用する。


― タマシギの現状

●VU 絶滅危惧Ⅱ類(環境省レッドリスト)
●茨城県霞ヶ浦、土浦の個体数は、観測値および推定値ともに、最近22年間(1997~2019年)で激しい減少を示していることが報告されている。水田や湿原などの淡水湿地で生息するため、河川改修や圃場整備(休耕田の減少や乾田化)による生息環境の減少が脅威となっている。
●今後、絶滅のおそれが高まる可能性があり、全国的に注視が必要と考えられる種である。
●特徴的な形態や鳴き声から、種判別が容易で市民調査として情報を集約できため、長期的なモニタリングを行う予定。


― タマシギ調査

シギチ繁殖モニタグループで計画を練った第一弾のタマシギ調査です。
あらかじめ設定した地点で、夜間6分間の鳴き声を聞き取ります。
ぜひご協力いただければ幸いです。結果は、情報送信フォームよりお送りください。

○2023年度調査状況:一次メッシュ(2023/8/16更新)


○タマシギ調査の方法
調査フォーム ← タマシギ観察報告フォーム
 複数地点のまとめて報告には、csvシートを送ります。下記 守屋までご連絡ください。

― よく似た環境で鳴く鳥

【バンの鳴き声:兵庫県】(Recorded by 梶本恭子)
【オオバンの鳴き声:栃木県】(Recorded by 平野敏明)
【クイナの鳴き声:栃木県】(Recorded by 平野敏明)
【ヒクイナの鳴き声:栃木県】(Recorded by 平野敏明)
― よく似た環境で鳥の声ように聞こえるカエルの声
【ヌマガエルの鳴き声:茨城県】(Recorded by 小田谷嘉弥)


― 参考文献

・Amano, T., Li, M.H., Yoshida, H., 2010. Silent night in Japanese rice fields? A population decline in Greater Painted Snipe. Ornithol. Sci. 9, 49–53.
・Katayama, N., Odaya, Y., Amano, T., Yoshida, H., 2020. Spatial and temporal associations between fallow fields and Greater Painted Snipe density in Japanese rice paddy landscapes. Agric. ecosyst. environ. 295.
・小田谷嘉弥, 2020. 生態図鑑 タマシギ. バードリサーチニュース, 17(11): 3.
・植田睦之・植村慎吾, 2021. 全国鳥類繁殖分布調査報告 日本の鳥の今を描こう 2016-2021 年. 鳥類繁殖分布調査会.東京都府中.
・Carrasco, L., Fujita, G., Kito, K., Miyashita, T., 2022. Historical mapping of rice fields in Japan using phenology and temporally aggregated Landsat images in Google Earth Engine. ISPRS J. Photogramm. Remote Sens. 191, 277-289.


お問い合わせ先


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)へお問い合わせ下さい。