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ベランダバードウォッチ−身近な野鳥調査−を始めます
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ベランダバードウォッチ2005年繁殖期 調査結果


 ベランダバードウォッチは7月末日現在、59名の方に参加いただき、60地点を調査しています。まだ、繁殖期のすべてのデータをお送りいただいていいるわけではありませんが、家での調査を129件、家のまわりの調査を189件お送りいただいています。
 この調査は、長期間継続することで重要な成果があがってくるタイプの調査ですので、まだ興味深い結果がえられたわけではありませんが、現在までのところの調査地の分布、記録された種の状況などについてお知らせいたします。

記録された鳥

 石垣島にも調査地があったので、カンムリワシやオオクイナなどといった鳥も含む合計104種が記録されました。

 記録率の多い鳥はスズメ、ヒヨドリ、キジバト、ハシブトガラス、ムクドリ、ツバメといった鳥たちで、家での調査、家のまわりの調査ともに、これらの種が上位を占めていました。記録された個体数についてもこれらの種が上位を占めており、これらの種が住宅地の主要な種と言えそうです。
 各種鳥類の出現率は調査時間、調査面積ともに広い「家のまわりの調査」の方が「家での調査」より当然高くなるのですが、なかでもハシボソガラス、カワラヒワ、ハクセキレイ、コゲラの記録率の差が大きいのが特徴でした。コゲラは比較的行動圏の広い鳥で、それ以外は畑などの開けた環境にいる鳥です。こういった鳥については「家での調査」では十分にモニタリングできない可能性もあり、今後、注意して検討していく必要がある項目かな、と思いました。

図.家での調査と家のまわりの調査で記録された鳥類上位10種.家のまわりの調査の平均個体数は、概数で記録しているので、個体数ではなく個体数ランクの平均値を示している。ランク1:時々いる、2:1〜2羽、3:3〜5羽、4:6〜20羽、5:21〜99羽、6:100羽以上

記録個体数の季節変化

 確認されることの多かった10種について個体数ランクの平均値をみてみました。多くの種では5月中旬から6月中旬に個体数ランクが高くなっています。おそらく巣立ちビナが出てきたり、若い群れが確認されるためにこのような個体数の増加が見られたものと考えられます。ハシボソガラスについては4月上旬に個体数ランクが高く、ハシブトガラスも比較的似た傾向を示しています。カラス類は、この時期は抱卵をはじめた頃で、目立たなくなるような気がしますが、巣を他個体から防衛するために飛び回るとか良く鳴くとか、何か原因があって目立つのかもしれません。来年は気をつけてみてみようと思います。

環境別の記録種の違い

 調査地を、畑の有無、公園の有無、林の有無、川の有無に分けて、出現種や出現率について見てみました(表2)。本当は各環境の組み合わせで見ていくべきなのですが、現時点では調査地点数がまだまだ少ないので、単純に有無だけでみています。
 表2から、林があるところでは、記録される鳥が多いのが見えてきます。記録率の高かった種の10番目のウグイスでも59.7%と高い確率で記録されており、ほかの区分では30〜40%であるのに比べて高いことがわかります。もう1つ記録率が高いのが公園がない調査地です。普通に考えると、公園がある場所の方が鳥にとって良い環境のように思えますが、公園がつくられるような場所は住宅地であり、つくられない場所は農地や山に近い場所です。このような公園の有無とは関係のない周囲の環境の違いにより、このような結果が出たようです。この区分のみスズメでなく、ツバメが最優占種になっていたのも、そのあたりが原因と考えられます。
 優占種については、どの区分でも、同じような種が上がってきていますが、林や川のある場所でウグイスが入ってきているところや、川のある場所でハシボソガラスが2番目にランクされているところが目立ったところでした。川の周囲には開けた環境が多くあるので、ハシボソガラスが多いのだと思われます。

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 イギリスでは約10年前から同様の調査が行なわれており、BTOニュースの257号にレポートがでていました。それによると、イエスズメが減少していることや、ゴシキヒワが増加していることが明らかになっているようです。 このようなことを日本で明らかにしていくためにも、あまり無理せずに楽しみながら息長く調査を続けていくことが肝要です。ご協力よろしくお願いいたします。



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