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■分布調査について

 2004年の11月から8月にかけて実施したミヤマガラス分布調査の結果をまとめてみました。アンケートは,2004年11月から2005年8月の10ヶ月間で,55名の方の協力が得られ,92地点の情報が集まりました。ご協力いただいた皆さま,ありがとうございます。
 アンケートのほか,既存の文献の記録なども多数送っていただきました。また,各府県や野鳥の会の支部が作成した鳥類目録を中心に文献の記録を調べてみました。その結果をまとめました。
 なお,文献調査にあたっては,日本野鳥の会自然保護室のご協力をいただきました。ありがとうございます。


Fig.1 都道府県別アンケートの回答数
    地点ごとに集計し,文献の送付は
    含めていない

■〜1980年代前半 九州・中国・四国
 佐賀県では,「1950年代まではミヤマガラスの大群が渡来した。」との記録が残っており,島根県でも1955年の観察記録が残っていました。しかし,佐賀平野では1960年代以降ほとんど見られなくなったとされていました。20世紀前半にはまとまった数のミヤマガラスが西日本に渡来していたものが,1960年代前後に何らかの理由で渡来地が縮小したという経緯があるのかもしれません。
 佐賀県では1974年から数百羽の群れが観察されるようになったという記録がありました。山口県,福岡県,鹿児島県について,今回の調査から得られた最初の記録は1975年のものでした。このことから,70年代後半に九州地方と山口県に渡来地が広がった可能性が示唆されました。島根県でミヤマガラスの観察記録が多数出現するようになったのは1984年であり,四国地方の初記録とされているのも1984年の愛媛県の記録でした。

■1980年代後半〜1990年代前半 北陸・東北・北海道
 日本海側では,福井県で1986年に初記録があり,富山県や新潟県でも1980年代末には大きな群が観察されました。四国地方は愛媛県に次いで香川県と徳島県で1987年に初記録があり,高知県でも1988年には記録がありました。
 近畿地方では,北部で1990年代前半頃から観察されはじめ,同時期に東北地方でも観察され始めました。北海道の最初の記録は1988年だが各地で観察されるようになったのは1994年ごろからでした。宮城県では,1995年頃から観察記録の頻度が高くなっていました。

■1990年代後半〜 東海・関東
 北陸地方が1980年代後半だったのに比べて,東海地方は遅く,岐阜県の初記録は1996年でした。今回の調査で得られた静岡県の最初の記録も1997年でした。関東地方では,茨城県で1998年に初記録がありましたが,栃木県や埼玉県の確実な最初の記録は2000年であり,神奈川県は2001年でした。紀伊半島では,1960年代の記録があるものの,それ以後,まとまった個体数が観察されたという情報は得られていません。

Fig.2 ミヤマガラスの観察記録が得られた都道府県(年代別)
    空白はミヤマガラスがいなかったことを示すわけではない


 分布についてのアンケート調査は,2005年8月をもって終了しましたが,上記のレポートについて,間違いや追加の情報など,お気づきのことがありましたら,お知らせください。調査へのご協力,よろしくお願いいたします。

連絡先
高木憲太郎 E-mail:


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