モニタリングサイト1000ガンカモ類調査交流会


湖沼や海岸で長期間実施されているモニタリング調査から、ガンカモ類の分布や個体数変化が明らかになってきました。今年の交流会では関東のカモ類の話題を中心に、モニタリングサイト1000の全国的なデータから分かった最新情報を交えて、現場で調査をされている皆さんに発表していただきます。
ガンカモ調査交流会は、どなたでも参加していただけます。ご興味がありましたら、ぜひお越し下さい。

会 場
谷津干潟自然観察センター レクチャールーム
http://www.seibu-la.co.jp/yatsuhigata/access/

日 時
2017年1月29日(日)
13:00~17:00 ガンカモ類調査交流会(参加費無料、申込不要)
17:00~19:00 懇親会(会費制で自然観察センター内で開催します。下記フォームでお申込み下さい)

★懇親会は1月23日(月)までにこちらのフォームでお申し込み下さい。会費は3000円程度の予定です。


プログラム(13:00 ~ 17:00)
モニタリングサイト1000の紹介(環境省)

身近なガンカモたち
荒川で越冬したハクガンの状況と東京のカモ事情(川内博 日本野鳥の会東京)
 昨年の冬、荒川の河川敷で長期間観察されたハクガンの越冬状況について報告します。また、1990年代後半から目立つようになった都内のカモの激減の実態についてお話しします。さらに、都内でのハクチョウの飛来状況についても、現時点でわかっていることを紹介したいと思っています。

関東地方におけるマガモ属の減少と農業集約化の関係(渡辺朝一)
 東京、特に区部の水域におけるカモ類の減少に関して、日本野鳥の会東京支部(当時)の皆さまが危機感を持たれてきました。各種の減少にはさまざまな原因が考えられます。その中で、昼間見られる水域の外へ、夜間に採食に赴くマガモ属に関しては、特に2000年代、その採食場所である水田の環境が大きく変わり、このことが東京近郊におけるマガモ属減少の主要な要因であると考えています。

東京湾のスズガモの動向(志村英雄 日本野鳥の会千葉県/NPO法人野鳥千葉)
 東京湾は、伊勢湾、中海・宍道湖とともに、アジアにおけるスズガモの重要な越冬地です。近年、夏期に多発する青潮の影響で、湾奥の海域では甚大な生物被害が発生し、スズガモのおもな餌である二枚貝が減少し、スズガモの生活に大きな変化を引き起こしています。三番瀬など湾奥の海域は採餌場としての機能を失いつつあり、スズガモは東京内湾南部に生活の場を移す傾向があります。さらに、東京外湾の浅海域で採餌することもあるし、太平洋沿いの河川河口部や漁港内で越冬する群れも多く見られるようになっています。青潮の起きにくい東京湾の再生が待たれます。

ホシハジロとコガモは、北へ行くほどオスが多い(神山和夫 バードリサーチ)
 ホシハジロの群れを見ていて、「どうしてこんなにオスばかりなんだろう」と思ったことはありませんか? じつは、ある種のカモは性比に地域的な偏りがあって、ホシハジロやコガモは北へ行くほどオスの割合が高くなります。東京では圧倒的にオスが多いホシハジロも、九州では雌雄が半々くらいになるのです。2014-16年の1月に全国で行ったカモの性比調査でわかったことをご紹介します。

全国的なガン類・ハクチョウ類の動向
増加しているマガンは何を食べている?(嶋田哲郎 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)
 伊豆沼・内沼をはじめとする宮城県北部の越冬地ではマガンの数が増えています。マガンは農地で収穫後の落ち籾や落ち大豆、そして春には麦などを食べます。彼らは農業という人の生業を巧みに利用して、食物を獲得して冬を過ごしています。ここでは食物に着目し、越冬期のマガンの食物資源利用法をご紹介します。そしてなぜマガンの数が増えているのか、考えてみたいと思います。

ハクチョウ類の状況(小西敢 浜頓別水鳥観察館)
 冬になると日本に渡って来る白鳥達。昭和40年頃には、コハクチョウは約600羽とも言われた時代から、現在、
数万羽に回復してきました。コハクチョウの話を中心に近年の飛来状況や驚くべき彼らの生活の一部を紹介します。

新技術を使ったガンカモ調査
広い湖沼のガンカモ類をドローンで数える(神山和夫 バードリサーチ)
 湖沼が広くてガンカモ類が遠くにいたり、数千数万羽も飛来するような生息地では、目視調査で個体数を数えることが困難です。そういう場所での新しい調査方法として、ドローンで空撮した写真からガンカモ類を数える方法を実験しています。ガンカモの群れは空からどんなふうに見えているのか、鳥の視点から撮影した写真や動画をご覧ください。