オガサワラノスリは,本州などに生息するノスリの隣接亜種で,レッドリストに記載されている鳥のひとつです。外来のネズミやトカゲといった餌動物に支えられてかなりの高密度で生息していますが,それでも全部で70つがい弱という小さな個体群です。その生息状況を継続的にモニタリングしてきた千葉さんたちですが,「ここ数年が正念場」と訴えています。小笠原諸島が世界自然遺産に登録されたことは喜ばしいことなのですが,そのための開発や観光客の増加による影響が心配されています。また,外来種を駆除して在来種を保全する自然再生事業がオガサワラノスリの食物を奪ってしまっているという問題も出てきています。この調査・研究プランでは,最も重要な生息地である父島と,ネズミ類が根絶されて巣立ちヒナが確認されなくなった兄島での生息状況の調査に加えて,オガサワラノスリの個体群の存続に,観光と自然再生事業がどう影響を与えるのか複数のシナリオを描いて分析する,としています。この研究の成果が,鳥にもやさしい環境活動に役立てられるといいですね。
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