ソウシチョウは,中国南部からヒマラヤにかけて生息している外来種ですが,江戸時代に飼い鳥として持ち込まれて,関東以南に分布するようになった鳥です。主に下層群落が発達した標高1000m前後の落葉広葉樹林や照葉樹林に生息すると言われています。富士山南麓はこうした環境が多いのですが,北麓は植林や針葉樹林が多く広葉樹林帯は限られています。北麓側では,こうした場所でソウシチョウが観察されていましたが,西さんはこの夏,亜高山帯の針葉樹林でソウシチョウの巣立ちヒナを観察しました。今のところ,ソウシチョウの影響が確認されているのはウグイスのみですが,鳥類の多様性が乏しい植林や針葉樹林でソウシチョウが繁殖するようになると,生息域は広がり,在来鳥類への影響も広がるかもしれません。この調査・研究プランでは,富士山北麓においてソウシチョウの分布を周年に渡って調査するというものです。植林や針葉樹林への進出はあるのか?彼らはどういう環境を選択しているのか?また,この調査にともなって,情報の少ない亜高山帯の鳥類相の季節変化についての知見も得られるのではないかと思います。
