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冬鳥ウォッチ  ― 日本で越冬する小鳥の群れの調査―

冬鳥の飛来状況の変化

マヒワ

冬も終盤になると、鳥仲間たちのあいだから「今年の冬はカシラダカが少なかった」とか「マヒワが多かった」などというような話が聞かれるようになります。私たちは、カシラダカやアトリ、マヒワといった冬鳥たちの渡来数が年によって著しく変動することを経験的に知っています。そして、こうした渡来数の変動は、その年の繁殖地での繁殖成功率や越冬地での積雪の量、木の実のなり具合などに影響されるらしいことも知っています。このような変動が単に一時的な現象として今後も続くのか、それとも繁殖地の環境悪化などによって日本へ飛来する個体数が次第に減少していくのか、大変興味深い問題です。と言うのも、1990年代中ごろから日本でも夏鳥の生息状況が悪化し、その原因のひとつに越冬地の環境悪化が示唆されているからです。日本で越冬する鳥たちにも、こうした国外での環境悪化が個体数の減少をもたらす可能性が考えられます。もし、そのような現象が起きているのならいち早く察知し、対策を考えなければなりません。

このような重要性にもかかわらず、なかなか調査が進まない原因は、群れの調査の難しさがあります。たとえば調査コースを設定して、そこを何度か歩いて調査しても、たまたま群れに会わなければ、0羽という結果になってしまいますし、たまたま100羽の群れに会うと100羽となってしまい、結果が大きくばらついてしまうのです。そこで、こういう鳥を対象にする場合は、集中的に調査するよりも、冬のあいだに何度か訪れるような、良く行く場所の飛来状況についての情報を収集した方が良いと考え、本調査を企画しました。