活動紹介 > カワウプロジェクト > 関東カワウモニタリング調査 (2009年報告)


 

 関東では、7月、12月、3月に確認できたすべてのねぐらで、カワウの個体数を数えています。この調査は、1994年に(財)日本野鳥の会研究センターによって始められ、2004年からは多くのボランティアの方々に支えられてバードリサーチが継続して行っています。
 この15年間に、関東のカワウの生息状況は大きく変化してきました。分布域の拡大につれ、放流されたアユなどが食べられてしまうと漁協や釣り人が訴える地域も広がってきました。下の図は、1994年12月と、1999年、2004年、2009年の3月のカワウのねぐらの分布図です。

          関東のカワウのねぐら分布の変化

    
       1994年12月               1999年3月

    
       2004年3月                2009年3月


 ねぐらのある地域が東京湾沿岸や荒川水系から広がっていったことがわかります。ねぐら箇所数は、1994年には8箇所でしたが、2009年3月には78箇所になりました。
 個体数は、この15年間でおよそ1.7倍になっています。(下のグラフを参照)


  個体数は、1996年から2000年まで増加したのち安定し、2003年から2005年まで再び増加に転じ、その後また安定期に入っているように見えます。生息域の拡大によって多くの食物資源を獲得できるようになったことでカワウの個体数が増加してきたのだろうと推測されます。また、各地でさかんに行われるようになってきた漁場からの追い払いや駆除などが、カワウの分散を加速した可能性も考えられます。現在はこのように関東域のほぼ全体にカワウの生息域が広がりました。このままの状態が継続されるのか、再び増加に転じるのか、それとも減少し始めるのか、これからも注目していきます。今後は、生残率や繁殖成功度などから生息状況の予測をつくり、モニタリング調査で検証したいと考えています。
 カワウの小規模なねぐらが増えてきたため、見つかっていないねぐらがあると思われます。。カワウのねぐらを見つけられた時には、担当までご連絡ください。関東以外の情報もお待ちしています。

お知らせいただきたい「ねぐら情報」は、次の通りです。

  1. 場所 できるだけ詳しく
 2. 見つけた年月日
 3. おおよそのカワウの数
 4. 繁殖しているかどうか
         
                             担当:加藤ななえ