著者紹介

 


矢萩樹(上左).オロロン鳥(ウミガラス)のまち羽幌町で生まれ育ち,幼少期から海鳥に強い関心を持っています。現在は北海道海鳥保全研究会の一員として,北海道に生息する海鳥の調査・研究・普及活動に取り組んでいます。今回は,共著者の松井さんの勧めもあり,初めて査読付き論文に投稿する機会に恵まれ,貴重な経験となりました。写真は天売島近海の海鳥調査の際に撮影したものです。
猿舘聡太郎(下).1999年岩手県生まれ。東海大学生物学部海洋生物科学科の卒業研究として,矢萩さんと一緒にケイマフリの調査を行う機会を頂きました。普段あまり見る機会の少ない海鳥の意外な種間関係が見つかり, 継続的な調査が重要であると改めて感じました。現在は東海大学大学院生物学研究科でクマゲラの生息地や森との関係性について研究を行っています。
松井晋(上右).大阪生まれ。大学生〜大学院生の時は沖縄,ポスドクの頃は関東を主なフィールドとして陸鳥の研究を行っていました。環境省自然保護専門員として天売島の海鳥の保全に2年間携わってから,海鳥調査にもかかわるようになりました。現在は東海大学札幌キャンパスを拠点に北海道の鳥類を対象に学生らとフィールドワークを楽しんでいます。

山路公紀.八ヶ岳南麓に住み,ジョウビタキの調査・研究をしています。昨年は,ジョウビタキが換気扇フードを多く利用する理由を,産座にすわる親鳥の視点から考えてみました。今年は,ジョウビタキとシジュウカラが同じ郵便受けや巣箱で入れ替わりながら繁殖する様子をみて,やはり親鳥の視点から解析しました。他の鳥類,さらに他の動物も巣から見る視界の広さによって繁殖場所を選んでいるのかもしれません。

石井華香.1998年静岡県で生まれる。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科卒。研究題材を探している際に山路さんの論文に出会い,一緒にジョウビタキの研究をしたいと申し出たのがはじまり。繁殖環境を分析するためにGIS(地理情報システム)を使用したことから,地図データを通じて環境保全等に貢献したいと思い,ジオテクノロジーズ株式会社に入社。趣味はスキーで,ジョウビタキが営巣する場所もスキー場周辺が多く,ジョウビタキに親近感を持っている。

三上修.1974年松江市生まれ。北海道教育大学函館校教授。2009年に,スズメの減少率を推定した論文を日本鳥学会誌に発表しました。その時は定量的なデータがあまりなく,定性的なデータをかき集めて減少していることを推測しました。今回は,多くの方のご協力のもと集まった全国鳥類繁殖分布調査の結果を活用させていただいて,定量的な解析ができました。本当にありがたいことです。ただし調査の性質上,スズメの主要な生息地である住宅地における結果はあまりないので,今回の推定に影響を与えているかもしれません。それについては今後,ベランダバードウォッチングの結果などが重要になってくるかもしれませんね。

佐藤匠.1999年滋賀県生まれ。大阪大学大学院・工学研究科,修士課程在学中.AI技術を用いた生物音響モニタリングに取り組んでいます.技術が世界を前進させるという信念の下,技術を駆使して自然界と対話するきっかけを築き,自然と共生する世界を作ることに貢献したいと思っています。

関伸一.はじめて赤外線センサーのついた自動撮影カメラを手にしたのは30年近く前だ。当時はトレイルカメラという呼称もなく,フィルム式のコンパクトカメラに秋葉原で買ってきたセンサーをつないで自作していた。巣箱との付き合いも同じくらい長い。あちこちでいろいろな鳥の研究用に巣箱をかけてきた。それから30年,トレイルカメラは多機能で安価になり,巣箱にも手軽に設置できる環境が整った。ここでは沖縄のヤマガラの巣箱での結果を報告したが,紹介した巣箱カメラの手法が次の興味深い発見にもつながれば嬉しい。アカヒゲ研究をライフワークとする,森林総合研究所・研究員。
瀬川良晃.1959年3月3日 秋田県生まれ。写真での記録に加え,動きのあるしぐさや生態も記録できればと思い,一眼レフカメラからミラーレス一眼カメラに移行したタイミングで動画記録も始めました。今回,コウライクイナの水浴びを動画でも撮影しておりますので,ご覧いただければと思います。また野鳥観察会や野鳥写真展などの告知やお手伝いもしています。ひとりでも多くの方が野鳥に興味を持ち,自然との共存を考えていただくきっかけになればと思います。
多田英行.1985年岡山県生まれ。チュウヒの巣内に大量のアリを見つけて大興奮,そして記録を取り忘れるという大失態から10年越しの報告となりました。近年は「恐竜捜索隊(恐竜観察会)」と称して,獣脚類恐竜としての鳥類をテーマに観察会を開催しています。
越山洋三.1967年愛知県岡崎市生まれ,岡山県赤磐市在住。野生動物調査「フィールドデータ」を経営し,野生動物に関する調査,講義,出版,絵画制作等を生業とする。「フィールドガイド日本の猛禽類」シリーズを企画,執筆,出版。岡山大学農学部 特別教育・研究員。博士(学術)。
安藤温子.1986年岐阜県生まれ。国立環境研究所主任研究員。生息地の島々を飛び回るカラスバトの生態に着目し,その進化的背景や,島移動によってもたらされる種子散布に関する研究を進めてきました。カラスバトの島移動の詳細なパターンを明らかにするために,最近GPS追跡に取り組み始めました。捕獲が難しかったり,ソーラー充電に失敗したりと苦労が続きますが,試行錯誤を楽しんでいます。写真はカナリア諸島テネリフェ島,スペイン最高峰のテイデ山麓の火山地形。
市石博.伊豆大島に1986年三原山噴火の年に高校の生物教諭として赴任。大島の自然を調べていく中で,天然記念物のカラスバトの生態がほとんど調べられていないことを知る。以後,都内に帰ってきてからも,生徒を伴って伊豆大島に通い続ける。現在,国立環境研究所安藤温子博士や大島公園獣医師尾澤進二氏らとGPS装置を装着しての行動調査や音声の分析などにも取り組む。写真はモンゴルの草原にてイヌワシと。

山田一太(ヤマダ イツタ).1950年広島県宮島町 (現廿日市市) 生まれ。1990年5月に宮島から本土に移転後,同年6月には,ハチクマの繁殖地を自宅近くにおいて確認していたのですが,諸事情により数年で調査は中断していました。10年くらい前,ハチクマの繁殖状況が気になって調査を再開したところ,予想以上の繁殖地を確認中。調査は暑いさなかに行うことから楽ではないのですが,ハチクマの体色の違いと換羽中の時期が重なり個体識別が容易となり助かっています。写真の後方は,ハヤブサの繁殖地で東向き。

渡辺朝一.1959年2月生まれ。埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。大昔!? の観察データを論文化することができました。年だけはとりましたが、中身はこの当時と大して変わってないな、と感じた次第です。
三上かつら.宮崎県出身,北海道在住,博士(理学)。元々の専門は行動生態学。サーマルイメージングカメラを使った研究,もうちょっと面白いことができるとは思うんですが,今回はひとまず足がかりということでご容赦ください。ところでこの写真はサーマルイメージングカメラで撮影しました。顔は左を向いていて,左上半身だけダウンジャケットを脱いだ状態ですが,髪やダウンの部分の温度が皮膚が露出した部分とは20℃くらい違いますね。
植田睦之.1970年東京都生まれ。全国鳥類繁殖分布調査に続き,今回は越冬分布調査についてまとめることができました。繁殖分布調査は,最終年こそコロナでオンラインになってしまいましたが,各地で,調査に協力いただいた皆さんに報告と交流をはかることができました。越冬分布調査については,残念ながらオンラインでの報告になってしまいました。昨年の鳥学会は現地開催できましたし(でも懇親会は残念ながら黙食),徐々に,協力いただいた皆さんと交流できる場がつくれるようになったらと思います。写真は繁殖分布調査の報告会の様子。
奴賀俊光.1976年千葉県生まれ。環境コンサルタント会社,バードリサーチを経て,2017年から(公財)日本野鳥の会に勤務。横浜自然観察の森レンジャーを経て,2021年からモニ1000陸生鳥類調査の事務局を担当。もともとはシギ・チドリ類など水辺の鳥の仕事をよくしていましたが,野鳥の会に入ってからは陸鳥の仕事の方が多くなりました。他に,リトルターン・プロジェクトでコアジサシの保全活動も行っています。写真はまさに越冬期調査時の写真です。
山ア優佑.1991年栃木県生まれ。2020年からバードリサーチの「冬鳥ウォッチ」の担当を引継ぎ,アトリ類などの個体数変化について調べております。そのような経緯もあり今般,全国鳥類越冬分布調査の報告書作成に関わらせて頂く事となりました。ご協力頂いた皆様には心より感謝申し上げます。今後も冬鳥ウォッチなどで越冬期の調査にご協力頂けますと幸いです。