バードリサーチ ニュース

2013年2月号 (Vol.10 No.2)

【 もくじ 】

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1.◆活動報告◆ 農地の水辺と水鳥 ~なつみずたんぼの調査~
2.◆参加型調査◆ メジロとランチ♪プロジェクト始動!
3.◆研究誌より◆ ヨシ焼きとヒバリの個体数
4.◆レポート◆ ジオロケータの仕組み
5.◆レポート◆ ジオロケータを用いたオオミズナギドリの生態解明
6.◆生態図鑑◆ オオバン
7.◆活動報告◆ 今年のカモ類の数は西高東低?
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【 概 要 】

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1.◆活動報告◆ 農地の水辺と水鳥 ~なつみずたんぼの調査~
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 昨年の7月中旬から9月末にかけて,NPO法人オリザネットさんらと埼玉県東部で農家の方の協力を得て,試行錯誤を繰り返しながら「なつみずたんぼ」の調査をおこないました.ニュースレターでも何度か紹介していますが、「なつみずたんぼ」とは,冬期にムギを栽培している畑で,晩春に収穫した後,秋まで畑に湛水したものです.ちょうどシギ・チドリ類など渡り性水鳥の渡来時期として,グッドタイミングな水辺.また,鳥の生息場所としてだけではなく,雑草抑制の効果もあるとのことで農家さんにも利益があります.

○開けた水面
 まず調査は,地域の大小23区画の冬ムギ収穫後の耕作地で水鳥を1週間毎にカウントしました.そのうち湛水されていたのは8区画,ほかは耕うんなどをおこなって除草されていました.カルガモ,サギ類,シギ類は調査開始時から観察され,チドリ類も8月初旬から観察されました.それら水鳥が記録された区画のほとんどは湛水されており,また湛水されていれば,ほぼ何かしらの水鳥が観察されました.そのため,水面があればその利用率はかなり高いと考えられます.特にシギ類は開けた水面を好むため,イネが勢い良く育っている水田は利用が難しく,このような場所を確保する事が重要と考えられます.

○水位と水鳥
 さて,特別に許可していただいた1区画では,耕作地にさした水位メモリ棒と水面が写るようにインターバル設定のデジタルカメラを設置しました.そうすると意外と水鳥が識別可能な状態で写っていました.写真から水位を読み取り,水位メモリ棒周辺の鳥類の種と個体数を記録しました.9月初頭までは水位は約5~8cmで深かったためと考えられますが,サギ類,カモ類が主に記録されていました.そこからジリジリと水は干上がっていき,9月16日に水位はゼロでヒタヒタ状態になり,前後してシギチドリ類が記録されていました.水位が4cm以下となった期間に,アオアシシギ,タシギ,トウネン,コチドリの4種が記録されました.その後,雨水が溜まるとともにシギ・チドリ類は記録されなくなり,種によって利用しやすい適度な水位があることがわかりました.雑草抑制に必要な水位や水鳥が利用しやすい水位,また農家の方が管理しやすい方法など,水位管理はポイントとなりそうです.農耕地の持つポテンシャルをいかした水鳥との共生について,今後とも継続して調査をおこなっていきたいと思います.
【守屋年史】

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2.◆参加型調査◆ メジロとランチ♪プロジェクト始動!
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○北のメジロ,南のメジロ
 鳥たちの生活は,たとえ同じ種内でもそれぞれの生息環境によって少しずつ異なります.繁殖を行う時期.寒い北の地域など,繁殖できる時期が短い反面,春~初夏にエサとなる昆虫が大量発生するような場所では,一度にたくさんの卵を産んで一気に子供を育て上げてしまう戦略が良さそうです.一方,繁殖できる期間が長ければ,一度に産む卵を少なくし,何回かに分けて子育てすることで,リスク減らすことができます.
 私が調査を続けてきたダイトウメジロでは2~3月が繁殖のピークですが,札幌で子育てをするメジロたちは4月にならないと繁殖地にやってきません.ダイトウメジロは一度に生む卵の数が平均2.7個と少なめで,長い繁殖期の間に最大4回も繁殖しますが,札幌のメジロは卵の数が平均4.5卵,繁殖回数はおそらく1~2回です.
 気候条件は緯度に沿って連続的に変わっていきますので,繁殖期やそれに関連した「子育て戦略」もそれに応じて少しずつ違っていると予想されます.みなさんが普段目にするメジロたちは,どのように子育てを行っているのでしょうか.

○さえずり時期を調べて繁殖期を探る
 メジロたちの子育て戦略は日本各地でどのくらい違うのか.それを調べる調査の第一歩として,まずは各地での繁殖時期を調べることにしました.繁殖行動を直接調べるのは難しいので,今回はさえずりを繁殖期の指標とします.鳴禽と言われるスズメ目の小鳥では,メスへのアピールや繁殖なわばりの宣言のためにオスがさえずりを行います.みなさんと一緒にメジロたちのさえずりがいつからいつまで聞かれるか調べることで,繁殖時期が日本各地でどう違うのか探ってみたいと考えています.

○初認調査&メジロとランチ♪
 調査はふたつ.さえずりの初認調査と「メジロとランチ♪」プロジェクトです.まず初認調査ですが,バードリサーチで以前から行っている「季節前線ウォッチ」にメジロを加えました.みなさんのお住まいの地域でメジロのさえずりを初めて聞いた日をホームページ等からお知らせ下さい.
 もう一つの「メジロとランチ♪」プロジェクトは,メジロのさえずり時期を調べるもので,この調査はお昼に行います.鳥の調査といえば朝じゃないの?と思われるかもしれませんが,予備調査から,メジロたちがお昼にも頻繁にさえずっていることが分かりました.私のフィールド観察では,特に,巣づくり時期や抱卵期といった“子育てテンション”の高いオスがお昼によくさえずるようです.そこで,お昼ごはんの時間帯にメジロのさえずりをチェックしていただく調査を企画しました.
 調査方法はとても簡単.休日やご都合のよい日に,お近くの公園や神社,学校など,少しまとまった林があってメジロをよく見かける場所でランチを食べてもらうだけです.お天気の良い日,外で気持ちよくランチを食べる,その間に,メジロのさえずりが聞かれたかどうかチェックしてもらいたいのです.調査期間はメジロのさえずり初認から8月くらいまでと考えています.
 メジロたちは,少しまとまった林があれば人里近くでも繁殖しています.5~7月に行った予備調査からは,12~13時の間に20分間さえずりをチェックすると,平均2回以上のさえずりが聞かれました.繁殖のピークにはもっと多くのさえずりが聞けると思います.同じ場所で定期的にランチを続けてもらえれば,いつが繁殖のピークなのかがはっきりと分かるでしょう.おうちや職場の近くに緑の多い場所があるならぜひ,晴れた日のランチをメジロのさえずりと一緒に楽しんで頂き,地域ごとに違う,メジロ目線の季節感を感じてもらう.そんな調査になればと思っています.
【大阪市立大学理学研究科 堀江明香】

■調査の詳細は下記のホームページをご覧ください.
http://www.bird-research.jp/1/mejiro

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3.◆研究誌より◆ ヨシ焼きとヒバリの個体数
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 ヨシ焼きがヒバリの個体数に与える影響についての論文が掲載されたのでご紹介します.
チュウヒの越冬やツバメのねぐらで有名で,ラムサール条約湿地にもなった渡良瀬遊水地は背の高いヨシの繁る広大な湿地です.それにも関わらず,草丈の低い草地で繁殖するヒバリが春になるとたくさん見られます.なぜ渡良瀬遊水地でヒバリが多いのか,ヨシ焼きをした年としなかった年を比べるなどしたところ,ヨシ焼きにより出現する広大な裸地がヒバリに繁殖地を提供していることがわかりました.
【植田睦之】

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平野敏明.2013.
渡良瀬遊水地におけるヒバリの個体数とヨシ焼きとの関係.
Bird Research 9: A1-
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4.◆レポート◆ ジオロケータの仕組み
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○ジオロケータとは?
 ジオロケータは,照度(光の強弱)・着水の有無・水温を記録する,動物装着型の小型記録計である.照度は60秒毎に測定され,10分間の最大値が記録される.着水はジオロケータから突出した2本の電極が海水に浸かり,通電することで認識される.3秒毎に着水しているかどうかが測定され,10分間の累積値が記録される.水温は20分間の連続着水後に測定が開始され,以後10分毎に記録される.ジオロケータには時計が内蔵されており(グリニッジ標準時),データは時系列に沿って記録される.ジオロケータの特徴は,長期間記録が可能であること(1~2年),そして重さ数グラムというその小ささである.最も軽いものは1g以下で,スズメ目など小型の鳥類でも用いられている.

○照度から位置を推定する
 照度を測定すると,その場の日長時間(昼間の長さ)から緯度を,また現地における正午時刻から経度を推定することができる.日の出・日の入時刻を特定するため,ジオロケータの照度計は薄明薄暮の明かりの変化を測定する.つまり,日中のように明るい状態だと,計測値は常に最大値になる.ある閾値を決め(通常は中間値),それを越えた時点を日の出・日の入時刻とする.そうすると,1日毎に日長時間と正午時刻を求めることができる.日長時間は緯度によって異なる.例えば,夏の日本とイギリスとでは,より高緯度のイギリスの方が日本よりも日長時間が長い.また,グリニッジ標準時では,日本の正午は午前3時頃になる(時差が約9時間あるため).同様に,夜の長さと子夜時刻も求めることができることから,1日2地点の大まかな位置を推定することができる.ここで「大まかに」というのは,誤差が大きいということである.日長時間および正午時刻は,数十kmの範囲では変わらない.また,曇りの日やジオロケータが影に隠れている場合には,照度がきちんと測定されないため,照度データから推定した位置の誤差は約186±114kmになる.照度データから緯度経度を推定した後,研究対象種の移動速度から,信頼性の低い位置情報を取り除く(オオミズナギドリの場合は2点間の移動速度>50km/hは除外).なお,海鳥の場合には,ジオロケータに記録された水温データを衛星によって測定された海表面水温データと照合することで,位置を補正することができる.
【国立極地研究所(北海道大学大学院水産科学院)
                   特任研究員 山本誉士】

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5.◆レポート◆ ジオロケータを用いたオオミズナギドリの生態解明
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○オオミズナギドリの渡り行動
 私は,オオミズナギドリという海鳥の生態について研究している.オオミズナギドリは3~11月にかけて東アジア周辺の島々で営巣し,1シーズンに1羽のヒナを育てる.海上や陸上での傷病鳥の保護や死体の発見などで,国外で回収された標識足環の情報から,オオミズナギドリの非繁殖期の海上分布について,断片的な情報が得られている.しかし,渡りのタイミングや主要な生息海域など,非繁殖期の行動については不明な点が多い.そこで,岩手県三貫島で繁殖するオオミズナギドリにジオロケータを装着し,彼らの非繁殖期の生息海域および行動を調べた.なお,ジオロケータは装着個体を翌年に再捕獲して,回収する必要がある.オオミズナギドリでは,1年後のジオロケータの回収率は約80%であった.
 ジオロケータに記録された照度データを解析した結果,オオミズナギドリは10月下旬~11月上旬にかけて南方への渡りを開始していた.そして,繁殖地から3,500~5,400km離れた3か所の海域(パプアニューギニア北方海域,アラフラ海,南シナ海)に,3~4か月滞在することが明らかになった.このうち,8割以上の個体はパプアニューギニア北方海域に滞在していたことから,本海域は非繁殖期のオオミズナギドリにとって重要な海域(越冬海域)であると考えられる.翌年2月下旬~3月上旬,オオミズナギドリは繁殖地へ向けて北方への渡りを開始していた.
 着水データを解析した結果,越冬海域のオオミズナギドリは,1日のほとんどを着水して過ごしていた.また,薄明薄暮の頃には,活動が活発になるといった日周性がみられた.生産力の低い熱帯海域で採餌する海鳥類の多くは,マグロやカツオといった大型魚類が表層付近に追い上げた魚を捕食する.そして,そのような多種が混在する採食イベントは,日の出・日の入の頃に頻繁にみられる.多くのオオミズナギドリが非繁殖期に滞在するパプアニューギニア北方海域は,大型魚類の主要な産卵場として知られている.非繁殖期のオオミズナギドリの採餌には,マグロ等の表層捕食者が密接に関わっているのかもしれない.

○採餌行動の雌雄差
 北西太平洋の海洋物理・生物環境は,春から夏にかけて劇的に変化する.そのような海洋環境の季節変化に対して,海鳥たちはどのように応答しているのだろうか?ジオロケータに記録された照度データを解析した結果,オオミズナギドリのメスは4~7月にかけて,採餌域を徐々に北上させることがわかった.北西太平洋では,5月頃に親潮前線付近で春季ブルーム(植物プランクトンの大発生)がが起き,生産性が高くなる.そのため,オオミズナギドリの主な餌であるカタクチイワシを含む様々な魚類は,春から夏にかけての水温上昇に伴い,親潮域まで季節的に回遊する.オオミズナギドリのメスの採餌域の変化は,本海域におけるこのような海洋物理・生物プロセスと一致していた.しかし,一方でオスは4~7月にかけて,主に繁殖地周辺の海域で採餌していた.このような採餌域の雌雄差はなぜ起こるのだろうか?
 4~6月はオオミズナギドリの産卵前にあたる.この期間,オスは繁殖に利用する巣穴を他のオスから防衛する必要がある.一方,メスは7月上旬の産卵にむけて,栄養を蓄える必要がある.着水データを解析したところ,4~6月にはオスはメスよりも頻繁に繁殖地に帰巣していた(4~6月の各月の帰巣率,オス:59-70%,メス:24-40%).そのため,オスでは採餌トリップ長(海で餌を採る時間)が短くなり,採餌範囲が繁殖地周辺に制限されていたと考えられる.本研究では,繁殖地での行動を明らかにすることによって,海上での行動の理解に繋がった.
【国立極地研究所(北海道大学大学院水産科学院)
                   特任研究員 山本誉士】

■今回のオオミズナギドリの研究では,鳥類の研究で頻繁に使用されている
 BAS-Mkシリーズのジオロケータを用いた.
 http://www.birdtracker.co.uk/index.html.

◆その他掲載記事
 ・帰巣日と滞巣日数を特定する
 ・ジオロケータの装着による鳥への影響
 ・今後の展望

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6.◆生態図鑑◆ オオバン
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○英名 Eurasian Coot   学名:Fulica atra
○分類 ツル目  クイナ科

○羽色
 頭と首は黒くやや光沢がある.その他の羽衣は濃い青灰色で,脇と下面はやや薄く,上面は淡い黄褐色.翼の前縁に沿ってと小翼羽の外縁,最外の初列風切に狭い白線がある.次列風切の先端は白い.下尾筒は黒い.虹彩は赤い.嘴と額板は白い.非繁殖個体は虹彩が赤褐色で,嘴の側面は浅黒い.若鳥は虹彩が茶色から赤褐色で,上面の色は成鳥よりも淡く,喉・頬・下面の色は白っぽい.幼鳥の虹彩は濃い灰色から薄い茶色.嘴は灰色で,額板も灰色で小さい.

○生息環境
 広い,滞水または流れの緩い水域で,水底が泥質で水草が豊富な富栄養または中栄養の湖沼や池,ダム湖,貯水池,運河,河川,用水路,河口干潟,水田,ハス田等の湿地に生息する.

○巣
 手賀沼では巣は水深が深いヒメガマ群落内で密度が高く,次がマコモ群落内で,ヨシ群落中には少ない.ヒナのふ化後,近くに別の育雛用の巣を作って移動することがある.しかし給餌は巣内では行われず,ヒナが水面に降りて餌を受け取る.産卵用の巣は皿型で,外径は30~90cm,産座径は25~40cm,巣の高さは5~30cm.育雛用に新たに作られる巣には産座はない.巣材は枯れたヒメガマの葉や茎が主で,他に枯れたマコモやヨシなど.人工物の上に巣を作ることもある.

○食性と採食行動
 雑食であるが,基本的には草食.水生植物(沈水植物・抽水植物・藻類等)や時には陸上植物の植物体や種子を食べる.貝や甲殻類,小魚,昆虫,ユスリカの幼虫等の動物質の餌も食べる.潜水や倒立をして水中のものも採食する.霞ヶ浦周辺では蓮田のくずレンコンを食べにきたオオバン等が防鳥ネットに羅網して問題となっている.

○日本国内の繁殖域・越冬域の拡大
 筆者らは日本全国におけるオオバンの分布の変遷について,地方出版物などにもあたりながら情報を収集している.「日本鳥類分布生態図説」のオオバンの分布図を見ると,関東では留鳥,東北と北海道では夏鳥,九州と四国では冬鳥とされている.上述のウイングタグの目撃情報や足環回収記録から,おそらく東北・北海道で繁殖していたオオバンは関東で越冬し,九州・四国で越冬していたオオバンはロシアや中国などの大陸で繁殖する個体だったと考えられる.1980年代に入ると,中部・近畿・中国地方でも少数のオオバンが越冬するようになり,近畿地方や中国地方,九州でも繁殖が報告され始める.そして,1990年代,2000年代になるにつれ,西日本各地で越冬するだけでなく,越冬地が東北地方へと北上している.近年は,北海道でも少数の越冬個体が見られるそうだ.越冬地の北上は,温暖化の進行に伴って,湖沼が氷結しなくなったことも関係しているだろう.
【名城大学農学部生物環境科学科 助教 橋本啓史】

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琵琶湖と霞ヶ浦でオオバンにウイングタグを装着して渡り追跡を
試みているので,ウイングタグ付きのオオバンを見かけた方は
ご連絡下さい!
http://www.ne.jp/asahi/hashi/hashi8/res/ooban.html
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◆その他掲載記事
 ・全長,翼開長,翼長,尾長,嘴峰長,額板の幅,ふ蹠長,体重
 ・鳴き声
 ・分布
 ・繁殖システム
 ・卵,抱卵・育雛期間
 ・渡り
 ・全国的な越冬数の増加

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7.◆活動報告◆ 今年のカモ類の数は西高東低?
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 ガンカモ類の調査というと,環境省と都道府県が1970年の1月から行っているガンカモ類の生息調査(ガンカモ一斉調査)が有名ですが,1月だけの調査では渡り時期にガンカモ類が多い生息地は過小評価になってしまいます.冬に湖沼が凍結する地方はもちろんですが,温暖な地方でも,種によっては秋や春の渡り時期に数が増加することが,これまでの調査で分かってきています(バードリサーチニュース 2011年12月月号参照).
 バードリサーチが行なっているガンカモ調査では,調査参加者の皆さんに飛来時期を通して個体数をカウントしていただいいるため,冬期のみの調査よりは正確にその場所に飛来する最大数を把握することができるのですが,そのデータを使って,昨年と今年の飛来数を比較してみました.出現地点の多い7種のカモ類について,今年の9~1月に最大数20羽以上が記録された地点を,昨年の同一期間と比較するという方法をとっています.

○カモ類が増えた調査地は西日本に多い
カモ類の個体数について,種ごと調査地ごとに対昨年比率を計算し,個体数が増加した調査地と減少した調査地の数を地方ごとに調べてみました.すると,北陸と東海から西の地方の方が,関東より北の地方よりも,カモの数が増えた調査地が多いことが分かりました.この分析はカモの全数を比較しているのではありませんが,各地点の増減傾向は,全体の増減傾向を反映しているのではないかと思います.ただし北陸のように調査地数が少ない地域では,地域全体の増減傾向を反映していないかもしれませんので,その点に留意してご覧下さい.カモ類の個体数の増減傾向が地方によって異なる理由はわかりませんが,今年は12月から1月にかけて低気温と降雪が続いたため,例年は冬期にカモが多くなるはずの地域では,越冬地が南にシフトしたのかもしれません.
【神山和夫】

◆その他掲載記事
 ・関東のマガモは昨年より減った
 ・魚食をするカモの目撃例

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バードリサーチニュース Vol.10 No.2  2013年2月28日発行
発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ

〒183-0034 東京都府中市住吉町1-29-9
TEL & FAX 042-401-8661
発行者: 植田睦之       編集者: 高木憲太郎
E-mail:  URL: http://www.bird-research.jp/
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