バードリサーチ ニュース

2009年3月号 (Vol.6 No.3)

 
【 もくじ 】

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1.◆参加型調査◆ キビタキの調査をはじめます!まずは初認から。
2.◆活動報告◆ シギ・チドリの採食と干潟
3.◆研究誌より◆ 森林におけるスポットセンサス
4.◆図書紹介◆ 日本の希少鳥類を守る
5.◆生態図鑑◆ ヤマセミ
6.◆参加型調査◆ 季節前線ウォッチ 携帯電話からも情報送信が可能に!
7.◆図書紹介◆ 田園の魚をとりもどせ!
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【 概 要 】
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1.◆活動報告◆ キビタキの調査をはじめます!まずは初認から。
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 暖かな日が増えてだいぶ春めいてきました.これからの季節,留鳥も繁殖に向けて活発になり,夏鳥たちも次々に渡ってきます.今回は,東南アジアで越冬し,4月ごろ日本に渡ってくるキビタキを対象に調査を企画しました.調査は初認の時期のほか,環境選択などいくつかの切り口で実施します.ご協力よろしくお願いします.

○初認時期の調査 標高との関係
 5年ほど前から,富士山麓の青木ケ原でキビタキの調査をしているのですが,どうもこの場所のキビタキの渡来は他の場所に比べて遅いようなのです.でも,繁殖の最盛期には生息密度もかなり高く,環境が悪いわけではなさそうです.なぜでしょうか?考えてみると,この場所は富士山の北側斜面にあたり日照が少なく,標高も 1000mほどあります.これが原因なんじゃないか?と考えたわけです.
 まずは,初認時期の地域差や標高との関係を調査します.調査への参加方法は簡単です.どんなところでも構いません,キビタキを観察したら,送信フォームから観察した日とその場所を送っていただくだけです.観察した場所の標高は,位置情報からこちらでGISを使って調べます.はたして,標高と初認の時期に関係はあるでしょうか?
 また,青木ケ原で調査をしていると,林内に低木や亜高木が入る林の方を開けた林よりも好んでいるように思います。そこで,キビタキがいた環境の調査も合わせてします。さらに,季節によってキビタキの餌となる昆虫やクモが変わるため,林内でキビタキがいる高さが変わるという研究があります。そこで,キビタキのいた高さも簡単な選択項目でお尋ねします。
ぜひ,ご協力ください。

キビタキ調査のページ
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/kibitaki/

○本当に初認か? by自動録音レコーダー
 今回の調査では,キビタキの初認時期をちゃんと捉えられているかどうか,自動録音ができるレコーダーを使った調査もします.この調査は,キビタキがやってくる林にレコーダーを仕掛けておき,1,2週間に一度,レコーダーの電池を交換してもらうというものです.
 レコーダーは,内臓の時計で毎朝決まった時間に自動的に録音をしてくれます.キビタキが渡来したら,レコーダーを回収して,いつからキビタキの鳴き声が録音されていたかを調べます.
もし,この調査にご参加いただけるようでしたら,
高木()宛にメールでご連絡ください.
 レコーダーが4台しかないので,募集するのは4名です.たくさんの方に手を挙げていただいた時は,調査される場所を加味して選ばせて頂きます.ご連絡お待ちしています!
【高木憲太郎】

◆その他掲載記事
 ・餌を追って上へ下へ オプション調査

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2.◆活動報告◆ シギ・チドリの採食と干潟
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 シギ・チドリ類は,干潟を採食地として利用する傾向が強く,干潟の生態系においては上位に位置し,また個体数の把握も比較的しやすいため,干潟のよい指標生物だといえます.昨年からバードリサーチでは,モニタリングサイト1000のシギ・チドリ類の調査事務局を引き受けていますが,各地の方の調査結果を集計するにつれ,シギ・チドリ類の種数や渡来数が干潟のどのような部分に影響を受けているのか興味が出てきました.シギ・チドリ類の利用頻度の高い干潟とはどのような干潟なのかを解明する足がかりを得るため,まずシギ・チドリ類の採食に注目し,昨年秋から底生生物との関係について調査を開始しました.

○試しの調査
 昨年秋の渡りの時期(8月~10月)に千葉県のふなばし三番瀬海浜公園に調査区を設置し,シギ・チドリ類の分布と底生生物の分布について試行的な調査を行いました.海浜公園の市川市側には最も干上がったときに沖に向けて約300m,幅約450mの干潟が現れます.底質は砂質~砂泥質です.そこを50m区画の方形区で区切り調査地としました.シギ・チドリの干潟の分布調査は,月に3回程度,大潮の日に干潟が現れてから再び波に隠れるまでの間,時間毎のシギ・チドリ類の位置,種名,個体数,行動,環境を記録しました.また,潮干狩り客やバードウォッチャーなどの人や猛禽類なども記録しました.
底生生物調査は,方形区の中から約15カ所の方形区を選び,月に1回,各方形区から直径15cm,深さ25cmのコアサンプルを3本取り出し,表層から5cmとそれ以下に分けて2mm目のふるいでふるって底生生物を取り出しました.これらはカニ類,二枚貝類,ゴカイ類などにおおまかに分けて保存しました.

○シギ・チドリと餌の分布
 調査地は昨年8月中旬に青潮の影響を受けたのですが,それ以前の底生生物の表層の分布では,カニ類は陸に近い区画で多く,ゴカイ類は陸から少し離れた区画で最も多く,沖に行くほど減少しました.また二枚貝は沖に行くほど多く確認されました.主なシギ・チドリの分布では,カニ類の多い砂質のA~B区画でキアシシギ,汀線からやや内陸の砂泥質のD~F区画にメダイチドリ,ダイゼン,ミユビシギ,ハマシギがよく確認されました.コメツキガニをよく補食するキアシシギが砂質区画にいるのは納得できるのですが,ゴカイ類などをメインの餌にしていると思っていた後の4種はゴカイ類が多い陸に近い部分ではなく,沖に近い区画によく集まっているようでした.

○今後の調査
 シギやチドリの渡来には,いろいろな要素が関係しているということがわかってきました.しかし,秋期だけの結果ですし,まだまだサンプル数が少ないので,今後も調査を継続していきます.将来的には干潟の価値を高めたり,再生するための基礎的な資料になればよいなと思っています.今年も,ふなばし三番瀬海浜公園でふるいをふるっていると思うので,気軽に声をかけて下さい.
【守屋年史】

◆その他掲載記事
 ・○餌だけではない,いろいろな要素

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3.◆研究誌より◆ 森林におけるスポットセンサス
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 バードリサーチは,環境省のモニタリングサイト1000の陸生鳥類の調査のお手伝いをしていますが,最近,調査上の問題となっていることがあります.その1つが調査コースの林道が使われなくなって薮が茂り,薮を掻き分ける音でセンサスに支障がでるということです.ヒグマと遭遇する可能性のあるコースでは,危なくて,自動車からあまり離れたくないという意見もありました.その様な問題を軽減するために,ラインセンサスからスポットセンサスに切り替えようと,その精度の検証をしたのがこの論文です.

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平野敏明・植田睦之・今森達也・川崎慎二・内田博・加藤和明・金井裕. 2009.
森林におけるスポットセンサスとラインセンサスによる鳥の記録率の比較.
Bird Research 5: T1-T13.
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 スポットセンサスという方法を聞いたことのない人もいるかもしれませんが,調査地点を決めて,その周囲に飛来する鳥を記録する方法です.猛禽類や水鳥の調査でよく行なわれる定点調査の森林の鳥版と思ってください.
 調査の結果から,スポットセンサスとラインセンサスの記録率を比べると,スポットセンサスの方が短い時間で多くの種を記録できることがわかりました.歩くことで広い範囲をカバーするラインセンサスの方が,そのうちの一部で調査をするスポットセンサスより多くの鳥が記録されそうに思いますが,1点に留まって,静かにじっくり鳥を探せる点でスポットセンサスの方が遠くの鳥や目立たない鳥を発見しやすいという利点が大きいようです.
 また,記録個体数を比較するとラインセンサスで多いところは,スポットセンサスでも多いという正の相関があり,個体数のモニタリングにも十分使えそうだということがわかりました.
【植田睦之】

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4.◆図書紹介◆ 日本の希少鳥類を守る
      山岸哲 編著 /京都大学学術出版会  税別3,500円
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 京都大学学術出版会から「日本の希少鳥類を守る」という本が出版されました.希少鳥類の保護活動を実際に行なっている方々が執筆した本で,トキ,アホウドリ,ヤンバルクイナ,シマフクロウ,シジュウカラガン,ライチョウ,オオワシ,チョウゲンボウ,ブッポウソウ,タンチョウ,コウノトリの保護活動について,その歴史や実際を読むことができます.詳細は下記のサイトをご覧ください.

京都大学学術出版会 書籍紹介ページ
http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=1596

 この本のコラムの部分をバードリサーチで担当したこともあり,バードリサーチの会員の皆様は,本書を割引価格で購入することができます.通常価格3,675円のところを,なんと」(というほどは安くありませんが),3,100円(本体2,940円+送料160円)です.さらに,複数冊ご注文いただいた方には,送料分が多少お安くなります.購入を希望される方は,下記のホームページからお申し込みください.
 4月10日までにお申し込みいただいたものを,まとめて注文,発送しますので,お届けは4月20日くらいになるかと思います.4月10日以降のご注文にも対応しますが,その場合には京都大学出版会から直接送ってもらうので,あちらの梱包料,送料が必要になります.梱包料,送料込みで3,290円とちょっと高くなってしまいますので,ご注文はお早めに.
【植田睦之】

バードリサーチの書籍注文ページ
http://www.bird-research.jp/1_event/book.html

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5.◆生態図鑑◆ ヤマセミ
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○英名:Greater Pied Kingfisher  学名:Ceryle lugubris
○分類:ブッポウソウ目 カワセミ科
 
○鳴き声
 ケレッ,ケレッ,と鋭い声で鳴く.飛びながらケレケレケレ,と鳴くこともある.繁殖期に巣穴を掘る際には,おもにオスがケレレレレ,と大きな声で頻繁に鳴く.


○分布
 本州,四国,九州に生息する.北海道や千島列島南部に生息するものは亜種エゾヤマセミ (C. l. pallida) とされる.また,北東アフガニスタンの東部からカシミール,ネパール,北東インドからインドシナ半島,中国の南部から北東部,ミャンマー南部,タイ北西部,ベトナム一帯に生息するものは C. l. guttulata とされる.

○繁殖システム
 繁殖期は3~8月.一夫一妻制.ひとつがいあたりの行動圏は,川に沿って3~7km.

○抱卵・育雛期間
 抱卵期間は約24日,育雛期間は約35日.抱卵,抱雛ともに雌雄で行う (石部 1997).

○食性と採食行動
 採食では,岸に生えた高木の枝や流れの中の岩,時には水面から10mの高さの橋の橋脚などを止まり場として魚を探し,水中に飛び込んで捕える.またホバリング (停空飛翔) から水中に飛び込んで採食を行うこともある.長野県を流れる千曲川の中流域における繁殖期の調査では,採食方法として止まり場を利用する割合は90.0%であり,ホバリングを利用するよりも高かった.採食行動による採食成功率の比較では止まり場を利用した場合の方がホバリングを利用した場合よりも魚を捕らえる率が高かった (止まり場利用: 70.7%,ホバリング利用: 50.0%).

○食物ニッチの分離によるカワセミとの共存
 ヤマセミは河川の上流域に生息し,カワセミは中,下流域に生息するとされているが,千曲川の中流域では二種の同所的な生息と繁殖が見られる.二種とも食物資源に対して日和見主義であるとされているが,利用する魚のサイズはほぼ一定であり ,同様の傾向は千曲川でも観察された.カワセミとヤマセミが育雛期に利用する魚は種類よりもサイズによって決定されると考えられる.千曲川における調査から,ヤマセミとカワセミの間では利用する魚の大きさ,採食場所が異なっていることがわかった.また,二種の間に直接的な争いは見られず,種間の行動圏は重複していた.千曲川では,二種の体サイズに由来した食物ニッチの分離が二種の共存を可能にしていると考えられる.
【笠原里恵 東京大学大学院農学生命科学研究科緑地植物実験所】

◆その他掲載記事
 ・全長,最大翼長,尾長,全嘴峰長,ふ蹠長,体重
 ・羽色
 ・生息環境
 ・巣,卵
 ・ヤマセミとカワセミの食性と採食行動の違い
 ・巣内育雛期に釣り人から受ける影響

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6.◆参加型調査◆ 季節前線ウォッチ 携帯電話からも情報送信が可能に!
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 「家に帰ってから情報を送信するのはめんどくさい」.以前からいただいていた,季節前線ウォッチの参加者からの意見に,やっと答えることができました.携帯電話での情報送信ができるようになりました.
 どこかで季節前線ウォッチの対象種を初認されたときは,その場所で携帯電話から以下のホームページにアクセスしてください.QRコードリーダーの機能がついた携帯をお持ちの方は,QRコードでホームページのURLを読み込むこともできます.携帯のお気に入りサイトに登録しておくと便利です.

季節前線ウォッチ for GPS携帯
http://db.bird-research.jp/kz/

 アクセスして,画面の指示に従って進むと,携帯に搭載されているGPSが携帯のある場所の緯度経度を求め,初認情報と共に位置情報も送ってくれます.最近の携帯電話は,どの機種でもGPSが搭載されていますが,古い携帯電話をお使いの方の中には,GPSが搭載されていないものもあります.その場合はこの送信ページを利用できません.申し訳ありませんが,ご了承ください.
 また,携帯電話用の季節前線ウォッチの結果のページもつくりました.電車の中など暇な時間にこちらから,結果をご覧いただけます.

季節前線ウォッチ結果報告 for GPS携帯
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/kz/

 ちょうど,ツバメの飛来がはじまった時期です.軒先の巣にツバメが来ているのをご覧になりましたら,この携帯電話のページあるいはパソコン用のホームページから情報をお寄せください.よろしくお願いいたします.
【植田睦之・神山和夫】

季節前線ウォッチ パソコン用のページ
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/kisetu/index_kisetsu_chosakekka.html

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7.◆図書紹介◆ 田園の魚をとりもどせ!
      高橋清孝 編著 /恒星社厚生閣 税別2,900円
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 野鳥のほとんどが水環境を利用します.特に水鳥にとって水は切っても切れない関係です.私は1年ぐらい前からバードリサーチのカワウの調査を手伝っていますが,調査をしながら「カワウと一緒に,エサとなる魚の生息状況も調査できれば面白いのになあ」とよく話をしています.
 本書は,水田や湖沼などに生息する魚にスポットを当てて,魚の種類や生態,各地で起きている水環境の破壊問題とそれに対する復元活動などが紹介されています.兵庫県でのコウノトリの生息環境復元についての話や,宮城県伊豆沼でのブラックバス侵入前と侵入後,駆除開始後での水鳥の個体数変化についてなど,鳥の視点からも面白く書かれています.全体的に難しい専門用語などはほとんどなく,魚の知識のない僕でも抵抗なく読むことができました.
 6章の「だれでもできる魚の調査方法」では,比較的簡単にできそうな調査の仕方が載っていました.定置網や地引網などは,カワウのいるような河川で調査するのに適していそうです.
【本山裕樹 バードリサーチ委託調査員】


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バードリサーチニュース Vol.6 No.3   2009年3月25日発行
発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ
〒183-0034 東京都府中市住吉町1-29-9
発行者: 植田睦之       編集者: 高木憲太郎
E-mail:  URL: http://www.bird-research.jp
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