バードリサーチ ニュース2008年8月号 (Vol.5 No.8)【 もくじ 】 ―――――――――――――――――――――――――――――― 1.◆お知らせ◆ 2008年秋 バードリサーチ研究集会開催! 2.◆図書紹介◆ 雪国上越の鳥を見つめて 3.◆生態図鑑◆ ソウシチョウ 4.◆参加型調査◆ シギやチドリは何を食べていましたか? 5.◆研究誌より◆ 越冬期におけるチュウヒの探餌環境選択 ―――――――――――――――――――――――――――――― このページは,ニュースレターの概要版です. 普通会員もしくは賛助会員に入会いただければ, 正式版を閲覧することができます.入会をお待ちしております. 【 概 要 】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1.◆お知らせ◆ 2008年秋 バードリサーチ研究集会 「渡り鳥と気象」 開催のお知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ バードリサーチでは様々な渡り鳥の調査をしていますが,最近力を入れているのが,渡りと気象の関係についての研究で,昨年より北海道大学低温科学研究所と共同研究をはじめています.そこで,今年の研究集会では,北海道大学と共催で渡りと気象をテーマに実施することにしました.北海道での開催ですが,秋の旅行もかねて,ぜひご参加ください. 【植田睦之】 ◆参加申し込み(会員) http://www.bird-research.jp/1_event/br-taikai08kaiin.html ◆参加申し込み(非会員) http://www.bird-research.jp/1_event/br-taikai08.html ---------------------------------------------- 主催: バードリサーチ,北海道大学低温科学研究所 日時: 2008年10月11日(土) 13:00〜16:30(12:30開場) 会場: 北海道大学低温科学研究所 電車等公共交通機関を使ってお越し下さい。 参加費:無料 プログラム: ・局地風の観測と渡り鳥(藤吉康志:北海道大学) ・積雪や寒波,温暖化の鳥への影響(植田睦之:バードリサーチ) ほか,講演募集中! 気象観測機器見学会:(先着20名まで) 低温科学研究所で観測している気象観測機器を見学できます。 懇親会: 見学会の後、大学の近くで開催予定。会費は4000円程度 エクスカーション:(費用は各自,レンタカー代等は割勘) 10月12〜13日に室蘭の地球岬に行く予定です。ちょうどノスリや 小鳥類の渡りのピーク。たくさんの渡りが見られると思います。 ---------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2.◆図書紹介◆ 雪国上越の鳥を見つめて 中村雅彦監修 上越鳥の会編著/新潟日報事業社 税込1500円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 上越教育大学の中村雅彦さんより,上越鳥の会の会員さんや上越教育大学の卒業生による上越での鳥の生態研究をまとめた本をご寄贈いただきました.生息環境ごとに市街地や公園の鳥から山岳地帯の鳥まで,沢山の記事とコラムが7つの章にまとめられています. 例えば,駆除されたカラスを調べて,繁殖期にねぐらに集まっているカラスの生殖器が未発達で,春のねぐらは若鳥が集まっているなど,グラフを使って説明されていたり,もっと北や標高の高い場所で繁殖するはずの鳥が,中継地である上越市などの雪国で間違えて繁殖してしまう事例の記録をまとめたコラムがあったりと,読み物としてだけでなく資料としての価値も高く,何かと役立ちそうな本です. 【高木憲太郎】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3.◆生態図鑑◆ ソウシチョウ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○英名:Red‐billed Leiothrix 学名:Leiothrix lutea ○分類:スズメ目 チメドリ科 ○鳴き声 クロツグミやガビチョウに似た複雑な節で雌雄ともさえずる.地鳴きは警戒時ににごった声で「ギチギチギチ」,仲間を呼ぶときに高い声で「フィーフィーフィーフィー」,群れでの移動時に低い声で「ギュィギュィギュィギュィ」など多様な鳴き方をする. ○分布 中国南部からヒマラヤにかけて自然分布する.ハワイ,北アメリカ,ヨーロッパ大陸で移入個体群が報告されている.日本へは江戸時代中期から飼い鳥として輸入されてきたが,1980年前後から関東以南で急速に個体数が増加した.富士山,伊豆半島天城山,丹沢山塊,秩父・奥多摩山系,筑波山塊,近畿の六甲山と紀伊山地,京都,九州全県の山地で生息が確認されている.外来生物法の特定外来生物に指定されている. ○抱卵・育雛期間,巣立ち率 抱卵期間約14日,孵化10〜15日後に巣立つ.捕食率が高く,巣立ち率は2.9〜9.8%(えびの高原).カケスとヘビ類による捕食が確認されている. ○越冬生態 越冬期は群れでより標高の低い竹林やササ藪へ移動する.人家の庭先,公園,海岸の林などにも現れる.20羽以上の群れを作り,カラ類と混群を形成することがある. ○在来種との営巣生態の違い ソウシチョウとウグイスは共にササ群落に営巣するが,両種の巣の分布の重なりは大きい.ソウシチョウの巣がササ群落全体に分布するのに対して,ウグイスの巣は道路近くに集中していた.ソウシチョウの営巣場所選好性はウグイスより幅広い. ウグイスは,茎が交差したところにササの葉を巻きつけて球状の巣を造るため,林縁などの茎密度が高い藪が必要であるが,ソウシチョウはササなどの小枝に巣をかがりつけるため,茎密度がより低い場所でも営巣できる.ウグイスは,ササ群落の中でより樹冠部(葉層部)の隠蔽度や茎の密度が高いところに巣を造る傾向があったが,ソウシチョウでは巣の場所とランダムに選んだ場所とに有意な差はなかった. ソウシチョウの営巣形態はルースコロニー的で,ササ群落の中で高密度な生息が可能である.巣の近くに同種の群れが近づいても,巣の持ち主のつがいによるなわばり防衛行動は観察されず,繁殖期においても排他性は低いようである. 【天野一葉 バードリサーチ研究員】 ◆その他掲載記事 ・全長,最大翼長,尾長,全嘴峰長,ふ蹠長,体重 ・羽色 ・生息環境 ・繁殖システム,巣,卵 ・採餌生態の違い ・侵入成功の要因 ・在来種への影響と対策 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4.◆参加型調査◆ シギやチドリは何を食べていましたか? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 干潟などで数種のシギやチドリが,かたまって盛んに餌を採っています.つまみ採るもの,さぐり採るもの,すくい採るものなど捕まえる餌によって採餌の方法も様々です.観察していると,何を食べているのか分からない場合もありますが,ゴカイなどの多毛類,カニやヨコエビ等の甲殻類,二枚貝や巻き貝等の貝類,小魚類などを捕まえているようです. では,それぞれのシギやチドリは実際のところ日本全国でどのようなものを食べているのでしょうか.バードリサーチでは,モニタリングサイト1000の調査に関連して,シギ・チドリ類の餌について,情報収集することにしました. シギ・チドリ類が,「どこでなにを食べていたか」という情報を積み重ねることで,鳥ごとの餌の種類の幅や,餌の種類の季節的な違いや干潟による違いだけでなく,「好む餌を採るために採食する環境を選んでいるのだろうか?」といった疑問にも答えが得られるかもしれません.シギ・チドリ類が好む環境条件を探ることができれば,保全すべき環境が見えてきます.ぜひ,ご協力お願いします. 【守屋年史】 ◆シギ・チドリ類食性調査の情報送信はこちらから http://www.bird-research.jp/1_katsudo/moni1000/shigitidori/shigiti_food.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 5.◆研究誌より◆ 越冬期におけるチュウヒの探餌環境選択 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 渡良瀬遊水地の一角には,ヨシ原浄化施設という人為的に造成された細い水路や管理用の小路,小規模な池が点在するヨシ原があり,冬期に最も多くのチュウヒが飛び交います.なぜこの場所をチュウヒが利用するのかを明らかにすることで,チュウヒの生息地の環境保全や環境の創出の基礎資料を得ることができるのではと考え,ヨシ原浄化施設と道路を挟んで北側に隣接するヨシ原だけが広がる環境で,チュウヒの探餌飛行の利用頻度を比較しました.さらに,沼が多くあるヨシ原や水路が1本だけ走るヨシ原に調査地を設定し,沼や水路を含むメッシュとヨシ原だけを含むメッシュにおける探餌飛行の頻度を比較しました. その結果,探餌飛行の際にチュウヒは,2シーズンに渡ってヨシ原だけの調査地よりヨシ原浄化施設を頻繁に利用すること,沼や水路を含むメッシュをヨシ原だけのメッシュより頻繁に通過することがわかり,チュウヒの良好な生息環境は,広大なヨシ原が必要であるとともに,池沼や水路が点在する複雑な湿地環境が不可欠であることがわかりました. 【平野敏明】 --------------------------------- 平野敏明. 越冬期におけるチュウヒの探餌環境選択 Bird Research 4: A9-A18 --------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ バードリサーチニュース Vol.5 No.8 2008年8月21日発行 発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ 〒183-0034 東京都府中市住吉町1-29-9 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ もくじに戻る↑ |
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