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バードリサーチ ニュース
2007年12月号 (Vol.4 No.12)
【 もくじ 】
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1.◆活動報告◆ モニ1000 シギ・チドリ類調査交流会参加報告
2.◆スタッフ紹介◆ 任期付研究員 採用しました!
3.◆海外最新情報◆ 市民参加型の長期的な調査からわかること
4.◆研究誌より◆ カワウのコロニー内の植生
5.◆図書紹介◆ フクロウ−その生態と行動の神秘を解き明かす−
6.◆生態図鑑◆ トモエガモ
7.◆会員情報◆ 会員の年齢構成は・・・
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【 概 要 】
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1.◆活動報告◆ モニ1000 シギ・チドリ類調査交流会参加報告
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徳島市で11月24日に開催されたモニタリングサイト1000のシギチドリ類調査の交流会に参加してきました.この交流会は今年で3回目になりますが,モニタリングサイト1000の調査員だけでなく干潟やシギチドリに関わりを持つ人たちが全国から集まって,調査や保全活動について発表します.その中から少し紹介したいと思います.
シギ・チドリ類調査の事務局をしているWWF Japanの天野一葉さんの発表によると,この25年間にハマシギ,シロチドリ,オバシギなどの種に減少傾向が見られたそうです.一方,昔は個体数が少なかったミヤコドリやセイタカシギなどには増加傾向があったそうです.
この発表に関して関東の参加者から「シロチドリの繁殖地や繁殖個体が減ってきているようだ」という発言がありました.すると,すぐに四国の参加者からも自分の調査地でも同じだという発言がありました.こうしたやりとりを聞いていると各地の調査員が集まる場の凄さを感じます.こうした情報交換が,新たな調査や保護活動のきっかけになると良いと思いました.
【神山和夫 バードリサーチ嘱託研究員】
◆その他掲載記事
・広島県竹原市のハチの干潟の保護運動
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2.◆スタッフ紹介◆ 任期付研究員 採用しました!
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11月から任期付研究員になった守屋です.大学院までは,アオキミタマバエという植物のアオキに寄生する食植生昆虫の個体群動態を研究していました.野鳥との関わりは,鹿児島での大学生時代所属していたサークルで,入会した早々にトカラ列島に連行されたのがきっかけです.それ以来,南九州を中心に渡り鳥をよく観察していました.
大学院修了後,関西の建設コンサルタント会社に9年間在籍,大阪と東京で勤務して鳥類調査を主な業務として行い,開発事業で問題となっていたクマタカ,オオタカ等の影響評価や保全計画の策定などにも関わっていました.
自然環境の重要性は,興味のない方にはなかなか伝えづらいのですが,まずは,身近な自然への関心が必要なのだと思います.ひとり一人が感じる身近な自然には思い入れができて,それをつなげてまとめれば自然環境への大きな理解と関心につながるのだと思います.縁があってバードリサーチにお世話になります,鳥を観察した時の発見や感動を伝えて,自然への関心を高めてもらえるように活動していきたいと思っています.
【守屋年史】
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3.◆海外最新情報◆ 市民参加型の長期的な調査からわかること
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今年もクリスマスの季節がめぐってきましたが,皆さんいかがお過ごしでしょうか?アメリカでは毎年この時期に,バードリサーチニュース2004年12月号(Vol.1
No.4)で紹介された大規模な「Christmas Bird Count」(以下CBC)が行われています.また,繁殖期には「Breeding
Bird Survey」(以下BBS)のような同様の調査が行われています.そこで得られたカウントデータはさまざまな生態学や疫学の研究にもちいられるようになっており,市民参加によるモニタリング調査の重要性が再認識されてきています.
僕は大学の卒論で房総半島のシカ個体群の個体数分布などのデータを使って分散速度を推定する研究をしました.そのため,大規模なカウント調査で得られるような複雑なデータをどう解析すればよいか,ということに興味を持って勉強するようになり,この記事を書く機会を頂きました.
○カウント調査のデータを活かす
皆さんも調査結果を統計解析することがあると思います.しかし,上述のようなカウント調査の結果を解析しようとすると,壁にぶつかります.例えば,調査地点が地理的に近い場合,両地点のデータが似た傾向を持っていたり,毎年同じ場所で調査している場合,ある年のデータは10年前のデータよりも1年前のデータに似ていたりします.また,大勢の人が参加している調査では,調査者によってデータの精度や基準が異なっていたりするので,簡単には解析することができないのです.
しかし,「階層ベイズモデル」という最近発展してきた強力な統計処理を用いることで,市民参加による調査から,基礎科学と保全の双方に有用な情報を取り出せるようになってきました.
○メキシコマシコとチャバラマユミソサザイ
この階層ベイズモデルを用いてカウント調査のデータを解析した例としてはWikleさんのメキシコマシコに関する論文があります.メキシコマシコはもともとアメリカ西部とメキシコに生息している鳥でしたが,1940年にニューヨークに導入されて以来,その旺盛な繁殖力と幼鳥が長距離移動するという特徴のため,アメリカ東部から西へ向かって分布を拡大してきました.
Wikleさんは1966年から1999年のBBSのデータをもちいて拡散モデルという数理生態学でよく用いられる手法に階層ベイズを組み合わせて,障壁の存在などによって場所ごとに異なっている拡散速度と個体数を推定しました.その結果,観察者ごとの誤差が大きいこと,1970年代の個体数減少には不確実性が大きいこと,中西部で拡散速度が速いということがわかり,不確実性を含めた2000年の分布予測を行うことができました.
また,LinkさんとSauerさんはBBSとCBCという夏(6月)と冬(12月)のデータを両方用いることで,個体群がどの季節に変化しているのかを調べました.チャバラマユミソサザイというアメリカ南東部に分布する留鳥は,地上で採餌するため地面が雪でおおわれていると餌が食べられず,冬の寒さに大きく影響されると考えられていました.
BBSとCBCのサンプリング効果の違いを考慮しながら1966年から2003年にかけてのデータを解析した結果,チャバラマユミソサザイの個体群の変動は82%が冬から春にかけて起こっており,北の個体群ほど冬の影響が大きいことがわかりました.また,観測所で4cm以上の雪が積もっていた日が1日増えるごとに個体数が1.1%ずつ減少していくことも明らかになりました.
【山道真人 総合研究大学院大学】
◆その他掲載記事
・階層ベイズモデルとは?
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4.◆研究誌より◆ カワウのコロニー内の植生
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カワウのコロニーでは,その糞や枝の巣材利用が植生に影響を与えますが,その状況についてまとめた論文が掲載されましたので,紹介いたします.
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伊藤信一. 2007.
浜名湖南部におけるカワウの活動がコロニー内の植生におよぼす影響.
Bird Research 3: S11-S16
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伊藤さんが浜名湖のカワウのコロニーで,カワウが木本植物におよぼす影響を解析したところ,コロニー内の84.2%の樹木が,おそらくカワウの影響により生育不良の状態にあったそうです.しかし,下層にはハゼノキ等の稚樹が多数生育しており,このような稚樹が植生の維持やカワウ移動後の植生回復に活用できるのではないかと伊藤さんは考えています.
【植田睦之】
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5.◆図書紹介◆ フクロウ−その生態と行動の神秘を解き明かす−
BIRDER編集部 編/文一総合出版 定価 1600円(税別)
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十年ほど前のことですが,私が住む東京都日野市の神社で毎年アオバズクが繁殖していました.営巣木の傍には続々とカメラマンがやってきて,アオバズクが出入りするたびにストロボを焚くので,私たちは交代で見回りをするようになりました.しかしそのアオバズクも,神社の改装工事で風景が一変してからは来なくなってしまい,その時の印象が強いのか,フクロウ類には人に追いやられて消えていくような物寂しいイメージがあります.夜に孤独に鳴いている情景も,そういう印象を強めるのかもしれません.
先日,BIRDER編集部からフクロウの本を寄贈していただきました.フクロウ類の多くは人里近くに住んでいるのに夜行性なので見かける機会が少ない鳥です.本書は日本で記録のある12種のフクロウ類について,たくさんの写真を使って紹介しているA4サイズの生態図鑑的な構成の本です.狩りや子育て,音声コミュニケーションなど,生態について,大学の研究者などそれぞれの鳥に詳しい方がわかりやすく解説を書いているので,フクロウ類をよく知らない私にはとてもいい入門書になりました.
ページをめくっていておやっと思ったのは,私が孤独とばかり思っていたフクロウ類なのに,冬にトラフズクが群になって木にとまっている写真が載っていたことです.その姿は,まるで梢の中に提灯がたくさん並んでいるようでした.
巻末には観察向きの6種のフクロウ類の探し方ガイドも載っていますから,近くにフクロウが暮らしていないか,調べに出かけてはいかがでしょう.
【神山和夫 バードリサーチ嘱託研究員】
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6.◆生態図鑑◆ トモエガモ
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○英名: Baikal Teal 学名: Anas formosa
○分類: カモ目 カモ科
○鳴き声:
オスは「オッ,オッ」または「コッ,コッ」と鳴くが,野外で声を聞く機会はまれである.
○生息環境:
ロシア連邦北部のタイガ北部,ツンドラ南部の樹木のある水辺などで繁殖する. 越冬地では,日中は干拓地の調整池などの広大な湖や大きな河川,周囲を丘や林に囲まれた湖沼で休息し,夜間は周辺の水田などで採食する.警戒心が強く,休息場所は岸辺から離れたところを好むようである.また,人の接近などによって,越冬期間中でも個体数が大きく変動する
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○繁殖システム:
地上でつがい単独または緩いグループで繁殖する.
○巣と卵:
草の茎や葉で皿状の巣を作り,胸や腹の綿羽で産座を作る.通常6-9個のオリーブ色味がかった淡緑色の卵を産み,平均卵サイズは49.0×34.8mm.
○食性:
採食は夜間に水田などで行ない落ち籾などのほか,タビエやタデなどの種子,浮葉植物や沈水植物の芽,水生昆虫や甲殻類なども採食する.湖岸に隣接する林内で堅果を探すこともある.片野鴨池周辺で地上用電波発信器を用いて調査したところ,採食場所が水田であることが確認された.また,韓国で行なわれた調査では食物のほとんどが落ち籾であった.しかし,飼育下のトモエガモでの実験では,稲,トウモロコシ,大豆よりもサイズの小さいヒエやコムギを好んで採食した.
○地味な求愛と闘争:
トモエガモの求愛のディスプレイは他のマガモ属の種と比べると目立たず,メスの周辺で頭頂の羽毛を逆立て,後頭部を突き上げるように首を伸ばしながら数回鳴くのみである.求愛行動の頻度は他のカモ類と比べると低いが,本州中部では1月から2月頃によく見られ,一日のうちでは早朝と日没少し前に多く見られる.
トモエガモのオスの闘争は初期段階では向かい合って顔を上に向け,喉の黒い部分を見せ合うことから始まる.嘴でかみつく,翼で叩くなどの直接的な攻撃が起こるのは決着が付かない場合で,多くの場合はそれ以前に終結する.
○トモエガモのカウント調査
「アジア・太平洋渡り性水鳥類保全戦略:2001-2005」に基づいて策定された「東アジア地域ガンカモ類保全行動計画2001-2005」では,「世界的に絶滅のおそれのある種のための行動計画」として,トモエガモの行動計画を策定するよう指摘されている.
これを受けて,日本,韓国,中国,ロシア,モンゴルの関係者からなるトモエガモタスクフォースが設立された.行動計画案は現在作成中だが,活動の一環として2004年から日本と韓国でカウント調査が実施されている.
韓国の越冬個体数は1970年頃までに激減したが,1990年代に入ると急激に増加した.2004年には日本と韓国で合計660,269羽のトモエガモが記録され,2005年の調査でも総計333,640羽が記録された.現在,総個体数は50万羽と推定されている.
【田尻浩伸 (財)日本野鳥の会サンクチュアリ室/加賀市鴨池観察館】
◆その他掲載記事
・全長,翼長,尾長,嘴峰長,ふ蹠長,体重
・羽色
・分布
・抱卵期間・育雛期間
・越冬地での大群の形成
・大群での飛翔
・保護上の問題点
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7.◆会員情報◆ 会員の年齢構成は・・・
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バードリサーチの活動へのご協力ありがとうございます.11月末時点の会員数は741名,調査協力者として登録していただいた方を含めると2,289名になりました.着実に会員数は伸びています.会員が10名を超える都道府県も17を数えるまでになりました.
毎年同じグラフをお見せするのも芸がないので,今回は会員の年齢構成をグラフにしてみました.生年月日を教えていただいている409名の方をもとにしていますので,実際とは多少異なるかもしれませんが,最年少が13才,最高齢が81才で30代と40代をピークに比較的バランスの良い構成になっています.
今後も皆さまと一緒に全国的な鳥の生息状況などを調査していきたいと思いますので,調査へのご参加,ご協力よろしくお願いします.
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バードリサーチニュース Vol.4 No.11 2007年11月15日発行
発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ
〒191-0032 東京都日野市三沢1−26−9 森美荘II−202
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