バードリサーチ ニュース

2007年7月号 (Vol.4 No.7)

 
【 もくじ 】

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1.◆活動報告◆ 都会のシジュウカラのさえずり 騒音への適応?
2.◆活動報告◆ バードリサーチ研究集会 夏 in大阪
3.◆学会情報◆ 日本鳥学会2007年度大会
4.◆レポート◆ アカメガシワの果実を食べたのは誰だ?
5.◆生態図鑑◆ ハシブトガラス
6.◆会員情報◆ 会員数662人に!
7.◆図書紹介◆ 三宅島の自然ガイド
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【 概 要 】
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1.◆活動報告◆ 都会のシジュウカラのさえずり 騒音への適応?
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 ヨーロッパのシジュウカラは騒音が大きいところでは,高い声で鳴くことが確認され,自分の声の周波数を騒音の周波数と重ならないようにすることで,声が雑音にかき消されないようにしているのではないかと考えられています.そこで,ぼくのフィールドでも今年,シジュウカラの声を録音してみました.
 東京都中西部で3月中旬から4月上旬にシジュウカラの鳴き声を録音し,騒音レベルと比較したところ,騒音の大きい場所ほどシジュウカラは高い声で鳴いていることがわかりました.次に,CDでシジュウカラの声を流して,それに対して鳴き返してきたシジュウカラの声を録音して同様に解析してみました.すると,鳴き返してくる声の高さはそれまで鳴いていた声よりもやや低く,騒音との相関が見られませんでした.
 体が大きいほうが低い声が出せると言われているので,鳥の中には同種と争う時に低い声を出すものがいることが知られています.1つの可能性は,仮説のとおりにシジュウカラは騒音に適応して騒音の大きいところでは声を高くするようになっているのだけれども,他個体が侵入してくると低い声を出して追い払っている.そしてその声は騒音とは関係のないその鳥本来の声だという可能性です.
 また別の可能性としては,騒音への適応ではなく,周囲のシジュウカラとの関係で見かけ上,騒音のレベルと鳴き声の高さの関係が生じている可能性です.つまり騒音レベルの低い場所は大きな林の中であることが多いので周囲にシジュウカラが多い可能性が高くなります.そのような場所ではシジュウカラはまわりの個体に対抗するために低い声を出すと考えられます.しかし騒音レベルの高い場所は周囲を道で囲まれた小さい林が多く,そのため周囲にシジュウカラは少なく,高い声を出してより遠くまで声を届けようとしていて,それが原因で騒音レベルが高い場所ではシジュウカラの声も高いという擬似相関が生じるのではないかということです.
 どちらなのかははっきりとは言えませんが,騒音レベルは高く,かつシジュウカラの密度も高かった場所でも声は高かったので,おそらく前者が正しいのではないかと思っていますが,もう少し細かい調査が必要そうです.
【植田睦之】

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2.◆活動報告◆ バードリサーチ研究集会 夏 in大阪
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 今回はバードリサーチの十八番,レーダーで鳥を調査する方法を皆さんにご紹介したいと思います.淀川の河川敷でヨシ原にねぐらをとるツバメや川の上を行き来する鳥たちをレーダーで映してみます.見ている鳥の軌跡がしっかりモニターに映ると,平面的な移動がはっきりわかり面白いですし,縦にレーダーを回して上空を見ると,見えないところを鳥が飛んでいるのがわかってゾクゾクします.ぜひ,一緒に体験しましょう.【高木憲太郎】
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日時: 2007年8月18日(土) 13:00〜19:00
場所: 高槻市立総合市民交流センター第4会議室(JR京都線高槻駅徒歩3分)
    http://www.city.takatsuki.osaka.jp/db/kurasu/db4-koryu.html
および 淀川河川敷
内容: 13時〜16時半 研究発表
     レーダーでみる鳥の動き
     近畿のツバメねぐら調査
     橋下に営巣するツバメが増えている?
     見えてきた日本のヒクイナの生息状況
     ミヤマガラスの個体数分布の季節変化
     カワウとその保護管理
     野鳥記録用データベースの紹介
     ほか,発表募集中!
    17時半〜19時 野外実習
       レーダーで見るツバメのねぐら
  19時半〜21時半 懇親会(4000円程度)

申込: ★8月10日締切 定員50名★
   ホームページのフォームから,お申し込みください.
   http://bird-research.jp/1_event/200708BR.html
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3.◆学会情報◆ 日本鳥学会2007年度大会
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 今年の日本鳥学会の大会は9月21日から24日にかけて,熊本大学で開かれます.発表の申し込みは7月20日までなので,まだ間に合います.もちろん参加だけでもOK.申込みは大会のホームページ( http://osj2007.com/ )をご覧ください.鳥学会にはバードリサーチのスタッフも参加して,5つのポスター発表と2つの自由集会をしてきます.【高木憲太郎】
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○ポスター発表
 都会の鳥のさえずり:騒音への適応? 植田睦之
 関東地域のカワウの平均巣立ちヒナ数 加藤ななえ
 ツバメの橋下営巣への適応 神山和夫・平野敏明・黒田治男
 日本におけるヒクイナの生息状況 平野敏明・植田睦之
 ミヤマガラスの個体数分布の季節変化 高木憲太郎ほか
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○自由集会
 カワウを通して野生生物と人との共存を考える(その10)あたらしい風♪
  企画代表者: 高木憲太郎
 第3回音声データによる鳥類のモニタリング
  企画者 石田健・植田睦之
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4.◆レポート◆ アカメガシワの果実を食べたのは誰だ?
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 鳥と果実には深いつながりがある.「みのりプロジェクト」では,「果実の豊凶や結実時期が変化すると鳥にどんな影響があるか?」など,果実と鳥の関係を調べているが,今回は日本に広く分布するアカメガシワを対象に,その果実を食べる鳥種の地域比較を行った調査を紹介する.
 アカメガシワは総状果序に20個前後の朔果をつけ,熟した朔果は裂開して数個の黒い種子が露出し,鳥類に食べられて種子散布される.結実は沖縄で6月,山形で10月頃である.

○調査方法
 2005年には,北は山形県から南は鹿児島県まで全国22か所に調査地点を設け,また2006年にはそのうちの 4か所で調査を行った.観察の合計時間が10時間以上になるように参加者に依頼し,観察対象のアカメガシワを食べに来た動物の種と個体数,可能であれば食べた果実数を記録するという方法で実施した.

○誰が食べていたのか?
 2年間の調査によって,24種の鳥類がアカメガシワを食べることがわかった.これらの種の中には,ヒヨドリやメジロといった日本を代表する果実食種の他に,エナガやスズメなど果実食の記録の少ない種も含まれていた.キビタキやサメビタキなどの夏鳥や,シロハラやジョウビタキなどの冬鳥も観察された.また,1回の訪問あたりの採食果実数は,鳥の体重が重いほど多かった.最も採食果実数が多かったのはキジバトだが,彼らは種子も消化するので,多くの種子が散布されずに食べられてしまう.

○今後
 本年も沖縄をかわきりに調査を開始する予定である.より多くの地点での調査により,潜在的なアカメガシワの採食種リストを完成させるとともに,さまざまな生態的な課題にも取り組みたい.調査については「みのりプロジェクト」のホームページ( http://www.fieldnote.com/minori/ )でも紹介する予定である.
【福井晶子 みのりプロジェクト/日本野鳥の会嘱託研究員】

◆その他掲載記事
 ・採食種の地理変異

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5.◆生態図鑑◆ ハシブトガラス
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○英名: Jungle Crow  学名: Corvus macrorhynchos
○分類: カラス目 カラス科

○羽色:
 全身黒色であるが,成鳥の羽毛,特に風切羽は青色から紫色の金属光沢を帯びる.また,成鳥の口内は黒色,虹彩は黒に近い暗褐色をしている.一方,幼鳥は,風切羽が褐色がかっており光沢がなく,口内が赤い.巣立ち直後の幼鳥の虹彩は青灰色.
 
○生息環境:
 森林,海岸,市街地に生息するが,農耕地では少ない.市街地での研究はあるが,森林での生活は不明.

○繁殖システム:
 一夫一妻.つがい関係は通年維持され,何年も続くと言われる.なわばりは雌雄で防衛し,その広さは2〜49haと変化に富むが,市街地では5〜6haのことが多いようである.
 ペアがいつ,どのように形成されるかについては不明.1,2才で繁殖を開始したと考えられる観察例もあるが,繁殖開始までに3年かかったと考えられる例もある.非繁殖集団が通年見られるが,これは繁殖開始前の若鳥を中心とした集団であると考えられる.

○卵:
 一腹卵数は4〜6卵.卵は長径45mm程度で,色は淡緑褐色から淡緑青色の地に暗褐色系の斑紋がある.

○食性とねぐら
 雑食性で極めて食性の幅が広い.果実類や昆虫等の小動物のほか,動物の死骸も食物として利用する.鳥の卵やヒナ,巣立ち後の幼鳥を捕食することがあり,時にハトの成鳥も捕食する.都市部では人間の出すゴミ袋をやぶり,中から餌を探す.果実類ではサクラ,エノキ,クスなどを採食し,ウルシ,ヌルデ,ツタといった目立たない乾果も利用する.また,頻繁に貯食を行う.
 集団塒を形成することでも有名であるが,ねぐらはハシボソガラスと共用している場合が多い.

○:餌資源の変動となわばりや繁殖成功度の関係
 都市部ではゴミに依存するハシブトガラスであるが,その餌資源が変動するとどうなるだろうか.筆者の自宅付近にたまたまハシブトガラスのペアが営巣しており,付近の住宅地でゴミをあさっていた.しかし,そこでゴミへのネットかけが普及すると,ネットをかけられた場所は行動圏から外れ,ネットのない場所へと行動圏が年々ずれて行くのだった.しかも利用可能なゴミ集積所数が減少すると巣立ちヒナ数も減少する傾向があった.ネットかけによる餌資源の減少が,ハシブトガラスの繁殖に影響を与えたのかもしれない.
【松原始 京都大学大学院理学研究科 動物行動学研究室】

◆その他掲載記事
 ・全長,自然翼長,尾長,露出嘴峰長,ふ蹠長,体重
 ・鳴き声
 ・分布
 ・繁殖システム
 ・巣
 ・抱卵・育雛期間,巣立ち率
 ・餌を求めて西東
 ・わかってきたこと,わからないこと

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6.◆会員情報◆ 会員数662人に!
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 2006年12月号で会員数が500名を超えたことをご報告しましたが,その後も会員は増え,6月末時点の会員数は662名,調査協力者として登録していただいている方を含めると2141名になりました.しかし,普通会員以上でニュースレターの正式版を読んでいただいている方は314名と会員の約半分です.
 また,会員数を分布図で見てみると,関東が最も多く,中部と近畿など人口の多いところで会員数も多くなっています.東北も比較的会員数が多いのですが,中国,四国,九州は5人以下の都道府県がまだまだたくさんあります.
 会員を増やすだけではなく,調査への参加率を上げる工夫もしていきたいと思います.興味のある調査には,ぜひご参加ください.
【高木憲太郎・植田睦之】

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7.◆図書紹介◆ 三宅島の自然ガイド BIRDER編集部編
              文一総合出版 定価 1200円 (税別)
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 Birder編集部より「三宅島の自然ガイド」をご寄贈いただきました.この本はエコツーリズムでの三宅島の復興を支援しようという意図で作られたガイドブックです.ガイドブックというとそこにいる生物や宿,食べ物の紹介にとどまっているものも多いのですが,本書は三宅島の保全上の問題についても多く紹介されています.噴火により打撃を受けた植物の回復と鳥などその他の生物の回復状況,人為導入されたイタチによる在来種への影響などなど… 島での調査や保全活動をする上でのアイディアブックとしても役に立つものになっています. 【植田睦之】

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バードリサーチニュース Vol.4 No.7   2007年7月17日発行
発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ
〒191-0032 東京都日野市三沢1−26−9 森美荘II−202
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