バードリサーチ ニュース

2007年5月号 (Vol.4 No.5)

 
【 もくじ 】

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1.◆参加型調査◆ 今年もヒクイナ調査にご協力ください!
2.◆活動報告◆ ミヤマガラスの個体数の季節変動調査
3.◆参加型調査◆ フィールドノート 簡単化第3弾 チェックリスト機能追加!
4.◆参加型調査◆ 冬鳥ウォッチ結果速報 対象6種全て記録!
5.◆図書紹介◆ 保全鳥類学
6.◆生態図鑑◆ サシバ
7.◆論文紹介◆ レミングが増えるとガンも増える?
8.◆研究誌より◆ 竹富島におけるカンムリワシの観察記録
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【 概 要 】
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1.◆参加型調査◆ 今年もヒクイナ調査にご協力ください!
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○2006年の調査結果
 バードリサーチでは,昨年からヒクイナの生息状況を調査しています.その結果は2006年10月号に速報として報告しましたが,その後さらに6人の方から情報が寄せられました.
 昨年は5月から8月までに全国で9人の方が合計26か所で鳴声再生による現地調査を実施していただきました.また,10人の方にはアンケートにお答えいただきました.
 その結果,2006年の繁殖期にはヒクイナは20か所で少なくとも32羽(個体数の記載がないものは1羽として計算)の生息が確認されました.生息が確認された府県は,福島県,栃木県,茨城県,岐阜県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県,熊本県,鹿児島県,沖縄県の2府9県でした.

○調査への参加とアンケート!
 今年も引き続きヒクイナ調査を行ないます.興味のある方は,ぜひ,ご協力ください.実際に野外で鳴声を再生して調査を行なっていただける方は,調査に必要なテープまたはCD(MD)をお送りいたします.バードリサーチ(hirano@bird-research.jp)までご連絡ください.
 また,探鳥に行ったらたまたまヒクイナの生息を確認したという記録のほか,ヒクイナがいそうな環境に早朝によく出かけるのに生息を確認していないといった不在情報でも結構です.ホームページのアンケートにお答えください.詳しくはホームページのヒクイナ調査をご覧ください.
 なお,繁殖期の記録だけでなく,冬の記録でも結構です.以前は夏鳥と考えられていましたが,現在では主に西日本で冬期も生息していることがわかっています.昨年のアンケート調査でも越冬記録をお送りいただいたものがありました.越冬する個体が日本のどの辺までいるのか,多いのか少ないのかなども興味深いテーマです.
【平野敏明】

■バードリサーチ プロジェクト紹介−ヒクイナ調査−
http://www.bird-research.jp/1_katsudo/index_hikuina.html

■生物多様性情報システム 絶滅危惧種情報
http://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html

◆その他掲載記事
 ・レッドリスト 絶滅危惧II類(VU)に選定される

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2.◆活動報告◆ ミヤマガラスの個体数の季節変動調査
              〜群れの国内移動を見い出せるか?〜
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○調査地と調査方法
 この冬はミヤマガラスの初認調査とは別に,平行してもうひとつの調査を実施しました.調査の目的は,各地のミヤマガラスの個体数変化から,国内での移動状況を見い出そうというものです.初認調査に協力してくださっている方に声をかけ,北海道から九州にかけての13か所の調査地を選びました.参加していただいた皆さま,ありがとうございました.
 2006年10月から2007年4月にかけて,11か所の主要な調査地では10回,2か所の調査地では5回の調査を実施しました.およそ10km四方の水田地帯をくまなく自動車等で走り回り,調査地内で日中に採食しているミヤマガラスの個体数をカウントするという方法です.

○12月に各地で個体数が減少?!
 多くの調査地では11月下半期まで個体数が増加しました.このことから,この頃まで渡りが続いていたと考えられます.その後,日本海に面したの秋田県の八郎潟,石川県の河北潟,島根県の斐伊川の調査地では個体数が減少しました.この時期に逆に増加した調査地があれば,そこへの移動が予想されるわけですが,日本海側以外の地域で12月以降に10,11月と比較して顕著な増加が見られたのは京都府の巨椋干拓だけでした.
 12月には宮城県の仙台や京都府の巨椋干拓,宮崎県の一ツ瀬川でも個体数が減少しましたが,日本海側と違って,減少したのは12月だけで翌月には個体数がもとに戻っています.
 さて,12月にミヤマガラスはどこに行ってしまったのでしょうか?12月の減少は日本海側から太平洋側というような大きな移動ではなく,調査地の周辺に分散しただけなのかもしれません.原因には餌の減少も考えられますが,3つの調査地では,1月以降個体数がもとに戻っているので,餌が完全になくなってしまったというわけでもなさそうです.
 皆さんのフィールドのミヤマガラスはどうだったでしょうか?昨年の12月に,いつもはいないところで群れを見た,または,個体数が増えていたようだという情報をお持ちの方は,ぜひ高木(takagi@bird-research.jp)までお知らせください.
【高木憲太郎】

◆その他掲載記事
 ・ミヤマガラスの若鳥はのんびりやさん?

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3.◆参加型調査◆ フィールドノート 簡単化計画第3弾 
              〜チェックリストで入力できます!〜
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 フィールドノートがチェックリスト形式でも野鳥記録を入力できるようになりました.キーボードから種名を入力しなくても,マウスだけの操作で簡単にフィールドノートに記録を保存できます.
 種名リストは五十音順と図鑑順(同じ環境の鳥を1画面にまとめたので日本鳥学会発行の日本鳥類目録の分類順と少し順序が違います)の2つを用意しました.ぜひ一度,使ってみてください.
【神山 和夫 バードリサーチ嘱託研究員】

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4.◆参加型調査◆ 冬鳥ウォッチ結果速報 対象6種全て記録!
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 ゴールデンウィークが過ぎ,いつの間にかツグミも姿が見られなくなりました.皆さんのまわりの今年の冬鳥は,いかがだったでしょうか.
 さて,冬鳥ウォッチには4月20日までに合計11人の方から20件の情報をお寄せいただきました.都道府県別では,北海道,宮城県,東京都,長野県,富山県,滋賀県,徳島県から各1件,千葉県と神奈川県各2件,栃木県8件でした.件数が伸びなかったのは,調査方法がやや漠然としていて捉えどころがなかったためでしょうか?それでも,今冬は調査対象とした6種すべてが記録されました.
 カシラダカとカワラヒワが多く12件と13件,その他は数件のみでした.50羽以上の群れが記録されたのは,カシラダカとハギマシコ,カワラヒワでした.野帳に冬鳥の記録がある方は,今からでも遅くありません.ぜひ,ホームページからご報告ください.
【平野敏明】

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5.◆図書紹介◆ 保全鳥類学   山岸哲監修 (財)山階鳥類研究所編集
                   /京都大学学術出版会 定価 3500円 (税別)
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 この本を何日か持ち歩いて電車などで読んだのですが,中身は16章に分かれていて,それぞれが20〜30ページにまとまっていたので読みやすく,つい夢中で読んでいて2回も電車から降り損ねてしまいました.
 保全の対象となる“種”とはいったいなんなのか?といった基本から,DNAによる遺伝的多様性の解析,ラジオトラッキングや衛星追跡といった保全対象鳥類の生態を調査するためのテクニック,絶滅の危機に面している鳥種にスポットをあてた話,ひとつの種ではなく群集や生態系の保全ついての話,重金属や重油など人間による環境汚染の影響など,鳥類の保全にかかわる広い分野が網羅されています.
 どれもそれぞれの分野の第一線で活躍している研究者が執筆していて,背景となる鳥の生態や研究成果を踏まえて書かれているので,保全分野に限らず,とても面白く読めます.ちょっと難しいなあ,と思うところがあっても,下手に入門書を買うよりもこの本を買って読んで,わからないところはそれぞれの分野の入門書を図書館で…,というのが僕のおすすめです.
【高木憲太郎】

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6.◆生態図鑑◆ サシバ
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○英名: Grey-faced Buzzard  学名:Butastur indicus 
○分類: タカ目 タカ科

○鳴き声:     
 雌雄とも「ピックィー」とか「キンミー」と聞こえる声でよく鳴く.越冬地や渡りの途中など繁殖期以外でも,この声で鳴くことがある.警戒声も同様である.

○分布:
 アムール地方南部,ウスリー地方,中国東北地方から河北省にかけて,それに日本の東北地方から九州で繁殖する.国内では,北は秋田・岩手県で毎年繁殖が確認されているが,青森県では継続的な繁殖は確認されていない.また,南は種子島まで,沖縄県を除く全都府県で繁殖が確認されている.冬期は南西諸島,台湾,中国南部,ミャンマー,インドシナ,マレー半島,フィリピン,ボルネオ,スラウェシ,マルク諸島,ニューギニアで過ごす. 

○繁殖システム:
 一夫一妻で繁殖するが,まれに2羽の雄が給餌に参加する一妻二夫もある.

○:巣
 営巣には,アカマツ,スギなどの針葉樹やクヌギ,コナラ,スダジイなどの広葉樹が利用される.中でもアカマツの利用が最も多い.幹から横枝が張りだした樹幹部や幹の又上の部分に架巣する.大きさはハシブトガラスの巣より一まわり大きく,樹木の枝を組み合わせて造られる.毎年同じ巣を使うこともある.巣の多くは水田などの開けた環境に面した斜面上の樹林に造られるが,河畔林や平地林でも造巣することがある.

○:繁殖北限域の分布の規定要因
 日本における繁殖分布の北限は岩手,秋田両県とされているが,岩手県では盛岡以南であるのに対し,秋田県では盛岡よりも高緯度の能代付近である.太平洋側の岩手県で繁殖北限域が低緯度なのは,初夏に北東から吹きつける冷たい季節風「やませ」による気温の低下と,それがもたらす採食動物となる両生・爬虫類,昆虫類の発生時期の遅れと低い発生量ではないかと予想される.
 岩手県内の谷津田に生息するカエル類のなかで優占種であるトウキョウダルマガエルの発生動態をみると,サシバの繁殖密度が比較的高い北上圏内の谷津田は,繁殖未確認であった盛岡圏内のそれと比べ有意に発生量が多かった.今後,繁殖北限域における詳細な繁殖生態調査により,繁殖北限域の分布の規定要因が解明され,繁殖に必要な条件を抽出することが求められる.
【東淳樹 岩手大学農学部保全生物学研究室 講師】

◆その他掲載記事
 ・全長,自然翼長,尾長,露出嘴峰長,ふ蹠長,体重
 ・羽色
 ・生息環境
 ・卵,抱卵・育雛期間
 ・渡り
 ・食性と採食行動
 ・これ以上減らさないために

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7.◆論文紹介◆ レミングが増えるとガンも増える?
              〜 レミングとハクガンとシロフクロウ〜
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 教科書にも載っている有名な話ですがレミング(ネズミ)の個体数は周期的に大きく増減します.レミングの多い年は,ホッキョクギツネはハクガンを狙わずにレミングを狙います.さらにレミングが多い年にはシロフクロウもそこに繁殖にやってきます.シロフクロウの巣の近くで繁殖し,防衛行動に寄生することで,ホッキョクギツネだけでなくオオカミなどからも保護してもらえるのです.そのため,レミングの多い年にはハクガンの繁殖成功率は8割を超えるまでになります.
 しかし,レミングの多い年の後には,すぐにレミングが少ない年がやってきます.レミングが減るとシロフクロウはよりよい繁殖地を求めてその場所を去ってしまいます.ハクガンはシロフクロウの庇護を受けることはできなくなります.さらにレミングを獲ることができなくなったホッキョクギツネがハクガンの卵やヒナを狙うようになります.そして,繁殖成功率は2割程度にまで低下してしまうそうです.
【植田睦之】

Bety, J., Gauthier, G., Giroux, J-F. & Korpimakim E.  2001.  Are goose nesting success and lemming cycle linked? Interplay between nest density and predators.  Oikos 93: 388-400.

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8.◆研究誌より◆ 竹富島におけるカンムリワシの観察記録
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 カンムリワシは,日本では石垣島と西表島でのみ繁殖する猛禽類で,この2島以外ではほとんど観察記録がないのですが,この2島のあいだに位置する竹富島でのカンムリワシを観察した記録の短報です.
 ぼくも以前カンムリワシの生息環境について調査したことがあります.ちょうど本州のサシバのように水田と樹林の両方がある場所に生息しているのですが,そういう環境はきわめて少ない状況です.そのため,カンムリワシにとって,繁殖できるほどではなくても,一時的に滞留して繁殖地が空くのを待つための場所は大切なのではないかと思います.
【植田睦之】

菊地正太郎・佐野清貴. 2007. 竹富島におけるカンムリワシの観察記録.
Bird Research 3: S7-S10

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バードリサーチニュース Vol.4 No.5   2007年5月15日発行
発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ
〒191-0032 東京都日野市三沢1−26−9 森美荘II−202
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