バードリサーチ ニュース
2007年1月号 (Vol.4 No.1)
【 もくじ 】
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1.◆活動報告◆ マークシートを使ってフィールドノートへ入力!
2.◆最新鳥学情報◆ 環境省の鳥類レッドリスト改訂
3.◆研究誌より◆ クイナ類の生息環境とカワウの繁殖成績
4.◆図書紹介◆ 東京湾にガンがいた頃
5.◆図書紹介◆ イヌワシの生態と保全
6.◆生態図鑑◆ ナベヅル
7.◆イベント情報◆ バードリサーチ研修集会 3月に開催!
8.◆参加型調査◆ クロツラヘラサギ 世界一斉センサス
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【 概 要 】
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1.◆活動報告◆ マークシートを使ってフィールドノートへ入力!
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○探鳥会の記録をフィールドノートに!
野帳を整理するためのWEBデータベース「フィールドノート」がスタートして4か月が経ち,おかげさまで,たくさんの方に使っていただいています.さらにコンピュータを持っていない方などにも利用してもらうために,観察会の時の「鳥合せ」のチェックシートを兼ねたマークシートを作成し,その情報をフィールドノートに取り込むためのシステムを作りました.
早速,日本野鳥の会函館支部の有馬健二さんに試していただき,過去からの探鳥会の記録をフィールドノートに取り込むことができました.その成果が函館支部報に紹介されましたので,その内容をお伝えします.【植田睦之】
○種ごとの生息状況の変化
探鳥会の開催回数の多い函館山の種ごとの変化をみてみると,スズメやハシブトガラスが大きく減少しており,それ以外にもチョウゲンボウ、ワシカモメ、ビンズイ、イスカなども減少していることがわかりました.逆に増加している種は主にコクガン、カルガモ、シノリガモなど水鳥類でした.
有馬さんによると,スズメは建物の隙間が減ったことによる営巣場所の減少が考えられ,またカラス類の減少はゴミの管理の徹底による食物の減少が原因ではないかということでした.コクガンについては増えている感じもするが,観察能力の向上の影響もあるのではないかということでした.
○探鳥会マークシートをご活用ください
このように探鳥会の記録を貯めていくことによって鳥たちの変化が見えてきます.探鳥会の記録を家に帰ってからコンピュータに入力するというのはちょっと敷居が高いですが,鳥あわせの時にマークシートにチェックする程度ならできるという方は多いのではないでしょうか?
探鳥会をされている方,または知り合いで探鳥会をされている方がいらっしゃいましたら,ぜひこのマークシートシステムをお薦めください.なお,マークシートでは個体数までは記録できませんので,個体数を記録したい方は,マークシートではなくパソコンからフィールドノートに直接入力してください.
■マークシートの使用についてのお問い合わせ先:
植田睦之
◆その他掲載記事
・函館山と大沼の種数の変化
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2.◆最新鳥学情報◆ 環境省の鳥類レッドリスト改訂
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○絶滅のおそれが高まった種
昨年12月22日に環境省が鳥類レッドリストの見直しを発表しました.レッドリストの見直しは1999年以来8年ぶりに行われたもので,鳥類の絶滅危惧種は前回の89種から92種へと3種増加しているだけですが,詳しく内容を見てみると,多くの種でランクが変化していました.
改訂前の絶滅危惧種の中で前回より絶滅のおそれが高まった種と,今回新たに絶滅危惧種に判定された種を合わせると26種になり,多くの種で絶滅のおそれが高まったことが分かります.
これらの種には,草原や低木林に生息する鳥(シマアオジ,チゴモズ,アカモズ,ヨタカ)や里地や水田に生息する鳥(ブッポウソウ,ヒクイナ,サシバ)などがあり,生息環境の悪化が影響していると推測されます.また,ヤンバルクイナやアカガシラカラスバトのように移入種の影響を受けたと考えられる鳥もいます.
○絶滅のおそれが低くなった種
絶滅のおそれが低くなった種は12種ありました.この中には,オオトラツグミ,アマミヤマシギ,オーストンオオアカゲラなど奄美大島の鳥が多いのですが,これは前回はデータが不足していて個体数が過小評価になっていたことや,奄美大島の森林植生が回復てきたことなどが原因のようです.コシャクシギ,セイタカシギ,チシマシギは日本が分布域の端に位置するため,アジア地域の個体数状況を加味して判断されたようです.
絶滅のおそれが低くなった種の中で特に目立つのは,オオタカが絶滅危惧?類から準絶滅危惧になり,絶滅危惧種ではなくなったことです.オオタカは「絶滅危惧種」として里山の保護のシンボルに使われてきたので「絶滅危惧種でなくなった」ことは困ったことだと思う人もいるかもしれませんが,個体数の回復と絶滅のおそれが低くなったことは喜ばしいことで,多くの自然保護団体の活動の成果だと思います.
しかし,これは今後もずっとオオタカが安全だということを意味するわけではありません.絶滅危惧種でなくなってしまうと,どうしても公的な調査が減ってしまうので,今後はNGOが協力して生息状況を把握していくことが必要です.バードリサーチもそのような部分に貢献していきたいと考えています.【神山和夫 バードリサーチ嘱託研究員・植田睦之】
■環境省 報道発表資料 レッドリストの見直し
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=7849
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3.◆研究誌より◆ クイナ類の生息環境とカワウの繁殖成績
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第2巻に論文2本が掲載され,最終的に7本の論文を第2巻に掲載することができました.3巻こそは二桁の論文を掲載したいと考えています.お手伝いいたしますので,論文を書いたことがない方も,ぜひ観察記録をまとめることに挑戦してみてください.また,1巻の論文が公開後1年を超えましたので,賛助会員と普通会員A以外の方でも,全文を見られるようになりました.ぜひご覧ください.【植田睦之】
■Bird Research Vol.1 2005
http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/journal_vol01.html
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渡良瀬遊水地における繁殖期のクイナ・ヒクイナの生息状況と生息環境(平野敏明)
Bird Research 2: A35-A46
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渡良瀬遊水地に生息する代表的な湿地の鳥がクイナ類です.その分布を調べてみると,クイナ類は特定の場所にしか生息していないことがわかりました.それは,渡良瀬遊水地の多くが,乾燥したヨシなどの高茎草原からなっていることが理由の 1つと考えられ,クイナ類など湿地性鳥類の保全を図るためには,人為的な掘削などによる積極的な湿地性環境の再生が必要だと平野さんは考えています.
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東京湾岸に位置するカワウの集団繁殖地間での推定繁殖成績の比較(福田道雄・加藤七枝)
Bird Research 2: A47-A53
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カワウはコロニー繁殖をしますが,東京湾には3つの大規模なコロニーが比較的接近した距離につくられています.この3つのコロニーのカワウの繁殖成績を1999年から2004年まで調べたところ,繁殖成績はコロニーにより,また年により異なっていることがわかりました.これまでの吐き戻した食物の同定結果もあわせて考えると,それぞれのコロニーで繁殖するカワウは,それぞれ違う場所で採食していることや,その他のいくつかの要因によって繁殖成績の差が生じたのではないかと福田さんたちは考えています.
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4.◆図書紹介◆ 東京湾にガンがいた頃
塚本洋三著/文一総合出版 定価1800円(税別)
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見渡す限りの干潟に舞い踊る水鳥たち,振り返ってもそこにはヨシ原が広がり,小鳥たちが飛び交う…,かつての東京湾はそんなところだった.1954年から東京湾の新浜で活動していた探鳥グループのメンバーの一人だった著者が,当時の新浜のそんな豊かな自然や探鳥の面白さを綴ったのが本書である.
情報や道具が豊富にある今とは違い,図鑑も望遠鏡も無い当時のバードウォッチングは,困難なことも多かったが,それだからこその楽しさもあったようだ.純粋に鳥を見つけること,識別することの喜びが伝わってくる.一度,何も無いまっさらの状態で鳥を見てみたら,どんなに楽しいだろうか.読み進めるごとに,新浜の鬼たちを真似てみようかと思ってくる.
東京湾にガンがいた頃を知っている世代には懐かしさを思い起こさせ,知らない世代には古き良き時代の鳥見の楽しさに興味を惹かせるだろう.
【濱外晴美 バードリサーチ嘱託研究員】
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5.◆図書紹介◆ イヌワシの生態と保全
ジェフ・ワトソン著 山岸哲・浅井芝樹訳
/文一総合出版 定価4400円(税別)
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本書はイヌワシの分布,生態,保護,文化についてまとめたモノグラフの翻訳本である.原書が1997年に出版された本なので,最近行なわれている衛星追跡調査などの成果は盛り込まれていないが,これを読めばイヌワシのことを体系的に知ることができる.生態等を詳細に記載した本なので,イヌワシや猛禽類に興味のある人向けの本だが,特定の種の生態を調べたいと思っている人にとっても,調査の視点など参考になる部分も多いだろう.【植田睦之】
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6.◆生態図鑑◆ ナベヅル
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○英名 Hooded Crane 学名:Grus monacha
○分類 ツル目 ツル科
○鳴き声
飛んでいるときには甲高い声で「クヮークヮー」という感じに聴こえ,鳴き交わしの時は同じ甲高い声でも,もう少しはっきりと「クルルル」と聴こえる.幼鳥は良く通る声でピーピーと鳴く.
○生息環境
繁殖期は森林に囲まれた湿原で,さらに湿原内でも小規模な林や低木林が存在するような場所で行われる.繁殖場所としては林や低木が周辺部にある,ミズゴケからなる湿原を選び,ヨシ原のような広範囲に開けた所ではみられない.
越冬期は水田,畑,河川などに生息し,水の張られた水田をねぐらとして利用する他,河川の植物の生えていない中洲などもねぐらとして利用する.また中国では湖の浅い場所をねぐらとして利用し,韓国の順天湾では内湾奥部の干潟をねぐらとしている.
○繁殖システム
一夫一妻で,一度ペアを組むと通常はそのペアを維持すると考えられている.しかし一方が死んだ場合などは新たにペアを組みなおすこともある.
○繁殖開始齢
繁殖が可能となる年齢は約3〜5才とされているが,オスは3才頃から精子を生産し,メスは5才頃から産卵可能となる.しかしながらペアを組めなかったメスは産卵しない.
○越冬地分散化計画
伝染病対策などのためには,限られた越冬地に集中分布しているツル類を分散させる必要がある.近年では,出水地域や熊毛地域などの既存の越冬地以外において,国内外でツル類の誘致および越冬地化に向けた取り組みが行われている.
例えば,渡り経路上の伊万里市では,市と地元住民が一体となり生息地の安全の確保や,デコイや鳴き声を流すなどの誘致活動が行われている.この結果,これまでのところ継続して毎年マナヅル1家族の越冬が確認されている.また高知県中村市では,多自然型農法などの生息地改善の面からのアプローチが行われており,今のところまだツル類の定着は見られていないものの,毎年十数羽の渡来を確認されている.
韓国では朝鮮半島南部の順天湾の生息地が保護区に指定され,90年代終わりには150羽程度の越冬数だったのが,現在では200羽を越すようになっているそうである.また,洛東江の流域にある亀尾市の渡り期に数千羽が通過する生息地も保護区になる予定で,こちらでは給餌も計画されている.
【山田泰広 財団法人日本野鳥の会 自然保護室】
◆その他掲載記事
・全長,自然翼長,尾長,露出嘴峰長,ふ蹠長,体重
・羽色,分布
・巣,卵,抱卵日数
・渡り
・食性と採食行動
・集中分布するツル
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7.◆イベント情報◆ バードリサーチ研修集会 3月に開催!
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今年の研究集会は「鳴き声」をテーマに開催します.鳴き声についての最近の研究についての講演とともに,実際に機材を用いての録音やその編集方法についての実習も行ないます.また,みなさんの研究発表の場を初日に設けます.鳴き声と関係のあるものも,ないものも,どちらも大歓迎です.ぜひご参加下さい.
参加を希望される方は2月20日までにインフォメーション宛にお申し込み下さい.初日だけ,2日目だけの参加も可能です.なお,2日目の実習は鳥のさえずりの状況によって,集合場所が変わる可能性があります.参加される方は最新情報をホームページ(準備中)でご確認ください.
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日時: 2007年3月3日(土)〜4日(日)
場所: 東京都日野市東部会館
(京王線高幡不動駅徒歩20分あるいは多摩モノレール万願寺駅徒歩5分)
内容: 3月3日
13時〜14時半 鳥の鳴き声についての講演
14時半〜16時 録音の仕方(講義)
16時〜17時半 一般発表
18時半〜 懇親会(3000〜4000円程度)
3月4日
9時〜12時 録音実習
13時〜15時 録音データの処理実習
15時〜15時半 まとめ
申込: インフォメーション
宛にメールで,
研究集会への参加希望と明記の上,お名前,参加日,
懇親会への参加の有無をお知らせください.
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8.◆参加型調査◆ クロツラヘラサギ 世界一斉センサス
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クロツラヘラサギは極東のみに生息する世界的な希少種です.クロツラヘラサギの世界の総個体数を数えるために,香港バードウォッチング協会(http://www.hkbws.org.hk/)などの自然保護団体が中心になって,毎年1月に世界一斉センサスが行なわれています.この一斉センサスは1994年から始まっていて,当時は350羽程度しか記録されていませんでした.しかし,昨年1月の調査では1679羽が記録されるまでになっています.
今年もこの世界一斉センサスが1月19〜21日に行なわれます.九州や沖縄の越冬地では日本クロツラヘラサギネットワークや日本野鳥の会の支部が調査を行ないますが,それ以外の小さな越冬地や偶発飛来地の記録は抜け落ちてしまいます.もし,この時期にクロツラヘラサギをご覧になった方は,バードリサーチまで観察場所と確認羽数をお寄せください.【植田睦之】
◆その他掲載記事
・クロツラヘラサギ個体数増加の理由
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バードリサーチニュース Vol.4 No.1 2007年1月12日発行
発行元: 特定非営利活動法人 バードリサーチ
〒191-0032 東京都日野市三沢1−26−9 森美荘II−202
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