著者紹介

 
北村俊平.カントウマムシグサの種子散布は石川県で野外調査をはじめたときに真っ先に取り組んだ研究課題の一つです。秋の林床で真っ赤に目立つ果実をつけているのに春になっても全く食べられずに倒れて,そのまま腐っている印象があったからです。得意の体力勝負の長期観察でのデータ収集はあきらめ,自分で観察する代わりにたくさんの自動撮影カメラを設置した成果です。予備調査を開始した2013年,大量の無効撮影データを見続けた後,コマドリが果実をついばむ瞬間が撮影されていた時のことは忘れられません。
森 航大・榊原貴之・野口将之・吉井千晶・東 淳樹.猛禽類の中では比較的身近に感じるミサゴですが,日本では意外と研究されていない鳥の1種です。日本のように餌の魚類や営巣地がバラエティに富んだ地域は世界的にも珍しく,その生態は海外の研究者からも興味を持たれているようです。魚鷹研究チームは2017年に発足し,国内のミサゴの生態解明を目的としています。今年はダム湖と沿岸部の食性について寄稿し,今後さらなるミサゴの知見の発信を目指します。写真は前列が森,後列左から榊原・東・吉井・野口。
平野敏明.根っからの出不精から最近は自宅付近の都市公園で,身近な鳥たちの生息状況をモニタリングしている。ササゴイもこの調査で出会った鳥のひとつ。採餌行動については詳しい研究が行なわれているが,繁殖成績などについてはほとんど発表されていない。この調査がササゴイの繁殖生態を解明する一助となれば嬉しい限りだ。
太田佳似.1960年大阪府生まれ。気象予報士。日本野鳥の会大阪支部。中高時代の生物クラブと須川恒さんのご指導で鳥の世界へ。近年は鳥と気象の切っても切れない関係に興味を持つ。「気象と鳥たちの生活?生物季節観測に親しむ」で気象予報士会より「木村賞」を受賞。京都農業大学校にて気象学の講義「暦(二十四節気)と動植物」を受け持っています。現在の夢は,生物季節観測による農作業(農事歴)へのフィードバックの定量化と,流跡線解析を用いた迷鳥予報の実現です。
植田睦之.1970年東京生まれ。今回は太田さんと一緒に季節前線ウォッチのデータをまとめました。まだまだ改良の余地はありますが,今回報告したモデルでウグイスのさえずり予報もできそうです。気象庁の生物季節観測は終了してしまいましたが,予報なんてできたら,一般の人の興味も引きそうですし,そんな活動もしながら,バードリサーチの季節前線ウォッチは盛り上げて,続けていきたいです。ウグイスと違って渡り要素もあるのでちょっと一工夫必要ですが,次はツバメで論文をまとめたいです。写真は今年で終了する全国鳥類繁殖分布調査の報告会の様子。
玉田克巳.1965年静岡県生まれ。全国鳥類繁殖分布調査が進められています。約20年前の調査の追試で,その前の40年前からの分布の変遷が見えてくるはずで,ワクワクしています。かねてから,環境省の分布調査の北海道版の情報がほしいと思っていました。しかし,こんなまとめ方は,誰もやらないだろうから,自分でやるしかないと思い,4〜5年前から,全集中の呼吸とは対極的な心構えで,ボチボチと作業を進めていました。どこに投稿するかを考えたときに,やっぱりバードリサーチ誌に出すべきだと思い,新しく普通会員になり,本誌デビューということになりました。50歳半ばですがピチピチの新人です。これからもよろしくお願いします。今,時代の先端は「鬼滅の刃」です。映画を楽しみたいので,レンタルショップに行って,アニメ版のDVDを借りてはじめから見はじめています。でも登場人物と,技の名前がなかなか頭に入らない。そのうち,中二の娘から,漫画を借りようと思っています…。
奴賀俊光.1976年千葉県生まれ。NPO法人リトルターン・プロジェクト理事。千葉大学大学院自然科学研究科でミユビシギの採食生態を研究。修了後は,千葉大学非常勤,民間の環境コンサル,バードリサーチを経て,現在は(公財)日本野鳥の会のレンジャーとして横浜自然観察の森に勤務。バードリサーチの「みにクル」シギ・チドリ類調査の九十九里浜北部を担当。好きな食べ物はモンブラン。趣味は旅行とビリヤードとテコンドー。いつかバードウォッチング婚活をしてみたい。
松村雅行.1954年東京都産まれ。NPO法人リトルターン・プロジェクト理事,リトルターン・プロジェクトに参加し,北村さん,奴賀さんのお二人に刺激をうけコアジサシについて調査研究するようになりました。元植木屋,今は現役を退いて早朝アルバイトの市民科学者です。またバードウォッチングショップ,ホビーズワールドの観察&撮影会の案内人をしています。コアジサシだけでなく水辺の鳥が好きで,鳥バッジのコレクションをしています。
北村 亘.1979年,千葉生まれ。専門は行動生態学・保全生物学・鳥類学。国際基督教大学教養学部を卒業後,東京大学大学院農学生命科学研究科において,ツバメの行動生態学を研究し,博士(農学)を取得。一般財団法人電力中央研究所の特別契約研究員を経て,現在は東京都市大学環境学部にて准教授をつとめる。その他にも研究活動の傍ら,NPO法人リトルターン・プロジェクトの代表として絶滅危惧種コアジサシの保護活動を行い,また,Liferbird代表として鳥類研究の普及と発展を目指す活動を行っている。
高山裕子.フライフィッシングが趣味で渓流で釣りをする中,初めて見る赤い鳥,ベニマシコに心を奪われて数年,なんの経歴もないただの鳥オタクですが,家の向かいにある公園の鳥を年300日位,雨の日も吹雪の日も,−30℃の日も観察記録し,今年までで72種記録しています。人知れず観察していた記録がこのような形で日の目を見るとは思ってもなく,感動しています。植田さんありがとうございます。