著者紹介

 
三上 修.1974年松江市生まれ。子雀ウォッチにご協力して下さったみなさま,ありがとうございました!今回の調査で,都市部で巣立ち後のヒナ数が少ないことがはっきりしました。今後データが集まっていくことで,言えることがどんどん増えていきそうです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。私の方は岩手に来て1年ちょっとが経ちました。スーツにネクタイ,足元は革靴というのがすっかり日常化してきています。写真は,自転車に乗って通勤していくところです。
植田睦之.1970年東京都生まれ。今回の子雀ウォッチの論文は,ベランダバードウォッチで注目されたスズメの減少や研究誌に掲載された三上くんの論文から子雀ウォッチがスタートし,みんなで集めたデータがまた研究誌に載るといったバードリサーチの活動として理想的な感じに思え,とてもうれしい論文でした。
これからもさらに活動をすすめ,この子雀ウォッチや,そこから派生した研究がどんどん進んでいったらうれしいな,と思っています。
藤田 薫.ヤマガラの個体数の調査は,三宅島の噴火をきっかけに行ったのですが,まとめるまでにずいぶんと時間がたってしまいました。ずいぶん時間はたったのですが,鳥への噴火の影響はいまだに続いています。調査を始めた頃は日本野鳥の会のレンジャーでしたが,今は,ボランティア活動,ゼミ,学食,大学生協の本の割引,学割の伊豆諸島船賃,学割の映画・・・学生生活を満喫しています。
藤田 剛.この研究に加わって良かったこと:(1)ヤマガラとシジュウカラの声「ヒ..」が聞き分けられるようになった。(2)ヤマガラのすむ森をたくさん見れた。すごく良かったこと:島のヤマガラの個体数推定を手伝えた。ちょっと残念なこと:総個体数の分かっている鳥が予想以上に少ないことを知った。写真は房総のきれいな水田を前にぼーっと立つ著者。直立したニホンザルではない。
樋口広芳.>最近,三宅島での研究拠点用に,知人より家と土地をご提供いただきました。今後,この場所を研究や教育活動にいろいろ有効利用していきたいと思っています。幸いにして,噴火後の生態系回復状況についての研究に,国の研究費もつきました。とりあえず,今回の論文で扱ったヤマガラを対象に,スダジイやエゴノキなどの貯食が森林の再生に果たす役割などについて調べていこうかと考えています。1948年横浜生まれ。東京大学大学院教授。
長谷川雅美.伊豆諸島では主にオカダトカゲとシマヘビの長期個体群動態の研究を行っています。島の自然,生態系の成り立ちを明らかにすることで,爬虫類の研究に深みをもたせたいという思いのもとに,鳥類や植物の記録もコツコツ残してきましたので,この研究に役立てることができてうれしく思っています。これからも,途切れることなく島での長期(群集)動態の研究を続け,短期の研究ではわからなかった発見をしていきたいです。1958年千葉県生まれ。東邦大学理学部教授。写真は伊豆諸島のタダ苗島で,巨大化したシマヘビを両手に持つ著者。
三上かつら.サンショウクイプロジェクトにご協力くださったみなさま,ありがとうございました。福岡に住んでいた学生時代,たびたび車で九州を縦断して宮崎の実家に帰省しました。その道すがら,リュウキュウサンショウクイをあちこちで見かけるので,だんだん気になる存在に。この論文は私の九州への郷愁の産物かもしれません。そんな南国の故郷を離れ,いまは岩手に住んでいます。写真は6月中旬の八幡平。すれ違う山ガールはみなファッショナブルでした・・・。私も一応よそいきのジャージです。
渡辺美郎.兵庫県神戸市在住。神戸市西区周辺で2007年秋からヒクイナ調査を始めました。以来,調べれば調べるほど奥深い鳥と気づき,興味が尽きません。生息適地である湿地帯は現代人にとっては無価値の不毛の地かもしれませんが,ヒクイナにとっては生命の源泉…。守っていきたい環境です.今後もコミットメントしていきたいです。
平野敏明.栃木県宇都宮市在住。バードリサーチ研究員。関東では最早研究できないほど激減してしまったヒクイナ。ヒクイナの研究に携われるとは夢にも思いませんでした。渡辺さんの熱意と努力に感謝です。関西地方が供給地となって,関東でも再びヒクイナの生息数が回復することを願いつつ,これからもモニタリングしていきたいと思います。
山田一太.1950年広島県生まれ。野鳥観察を初めたのは1983年ころでした。当初からハヤブサはあこがれの鳥でしたが、この当時,広島県ではハヤブサは数少ない冬鳥とされていたことから,ハヤブサを観察する機会は少ないものと思っていました。ところが,ハヤブサに対する見方が変わったのは1985年4月10日,宮島(現廿日市市)の東部海岸でヒヨドリの渡りを調査中,突然ハヤブサの成鳥が現れてヒヨドリを狙って攻撃した時でした。4月になっても観察できたことは嬉しく思いましたが,同時に次々と疑問が湧いてきました。この疑問を明らかにするために,ハヤブサの生息調査を開始してみました。テーマごとに研究は進んでいますが,その一つを論文にまとめました。写真は本文で紹介したハヤブサがよく止まる煙突を入れてみました。

籠島恵介.1963年,東京都生まれ。転勤族で成田,長崎,岡山,名古屋,沖縄と異動し,各地の鳥を堪能しております。現在は,沖縄のメジロの盗蜜行動に集中しています。
昆虫や他の鳥との競合,植物の形態など考えることが多く,知識も人脈もないのでやれることは限られていますが,ささやかな発見を地道に拾っていきたいと思っております。
高橋雅雄.1982年青森県八戸市生まれ。幼少の頃からの鳥好きで,仏沼のオオセッカたちと戯れて育ちました。一時的に青森を離れて金沢大学に進学し,片野鴨池周辺でケリの生態研究をしていました。現在は,立教大学の上田恵介教授の研究室に移籍し,故郷に戻って,オオセッカをはじめとする仏沼の鳥類の調査研究をしています。自分がオオセッカや仏沼の保全活動に関わるとは全く予想していませんでしたが,これも運命でしょうか。調査研究は鳥たちにとってはいい迷惑でしょうが,その借りを返すためにも,保全に関わる研究成果を出していきたいと思っています。先ずは博士号取得を目指します。
宮 彰男.1956年青森県五戸町生まれ。仏沼とオオセッカの保全活動に取り組み,35年ほどが経ちました。その間,紆余曲折があり多くの困難もありましたが,ようやくラムサール条約登録湿地となり,少し安心しています。現在では,有志と“NPOおおせっからんど”を立ち上げ,保全活動を続けています。また,オオセッカやクイナ類の調査,仏沼に棲む野鳥の撮影を行っています。最近は声の録音にも取り組んでいます。
上田秀雄.1953年東京都生まれ。野鳥をはじめ,カエル・セミ・コオロギ・ほ乳動物などの鳴き声,および水・波・風など日本の自然を音でとらえたUEDAネイチャーサウンド代表。動物の行動は目視観察が基本ですが,画像や音声による記録も以前から行われてきました。フィルムカメラから進歩したデジタルカメラのように,少し前まで高価だったデジタル機器が安価になり,平易に利用できるようになりました。それは画像ばかりでなく音声にもいえることで,今回,リュウキュウヨシゴイの鳴き声の録音に使用されたレコーダーは携帯電話ほどの大きさのPCMレコーダー。カセットとは比べものにならないほど鮮明な声が録音されており,きれいな声紋を得ることができました。

百瀬淳子.今回、アビ類の全国的な状況をマップにまとめ、公開することができて嬉しく思います。美しい夏羽のアビに一目ぼれして20年あまりになります。1995年に続いて本年9月、アビ類に関しては2冊目になる本を出版しました。『アビ鳥(どり)を知っていますか−人と鳥の文化動物学−』というタイトルです。私の場合、どうしても視点が人と自然の共生に行き、現在の鳥研究の世界では、いささかマイナーな分野になるようです。でも私には、とても惹かれるテーマなのです。写真は今年7月の北千島・サハリン航路において。サハリン・チュレニー島はウミガラスとキタオットセイで埋め尽くされていました。