著者紹介
関 伸一
.1971年、静岡生まれ。アカヒゲの繁殖生態の研究のためにトカラ列島に通いはじめて15年目、最近はトカラ列島周辺地域における鳥類の生物地理にも興味を持っています。昨年は、このトカラ列島で皆既日食が見られるというので、入島制限まで行われるほどの大賑わいでした。私自身も滞在させてもらえるかどうか微妙なところだったのですが、来島者を案内するための自然観察ガイドとして、現地で7月22日を迎えることが出来ました。皆既日食の直前まで雷雨という悪天候でダイヤモンドリングこそ見れませんでしたが、日中に突然訪れる暗闇はそれだけでとても神秘的な体験でした。日本で次に皆既日食が起こるのは2035年、今から観測計画を立ててみませんか?
高木憲太郎
.1977年東京生まれ。バードリサーチを立ち上げた時から調べ始めたミヤマガラスですが、ようやく最初の論文をまとめることができました。この研究をまとめるには大勢の方のご協力をいただきました。全国で鳥を調査している人たちの存在の大きさを改めて感じました。また、都道府県ごとの初記録を整理する際には文献が役立ちました。観察記録をきちんと残していくことは重要ですよね。ちょうど論文をまとめた直後に、地域での観察記録をまとめた冊子の書評を書く機会があり、こういう活動にバードリサーチとして何か協力できないかと考え始めています。
平野敏明・遠藤孝一・野中純・川田裕美・内田裕之・堀江玲子・長野大輔・船津丸弘樹・植田睦之
.「お疲れ様,また来年」暗闇の中で別かれの挨拶をして、早16年。当初はチュウヒの生態についてほとんど知識がなく、調査を行なうにも手探り状態でした。それでも、数年経つと草原の様子をみただけで,チュウヒやハイイロチュウヒの就塒しそうな場所が分かるようになりました。それとともにデータも増え、パソコンのデータを見返しては,思わず頬が緩んでいました。最近は、日本でもチュウヒの生息状況が注目されるようになりましたが、越冬期の個体数動向についてはほとんど調査されていません。この研究が,日本における越冬期のチュウヒのモニタリングのきっかけになれば嬉しいかぎりです。日本の何処かで「お疲れ様,また来年」の合言葉が聞かれることを願っています。写真は、2010年1月4日の参加者の皆さんです。
植田睦之
.1970年東京生まれ。昨年で,開発や風力発電に関わるオオタカやオジロワシ,オオワシなど猛禽類の仕事が一段落つきました。今年は,その成果をまとめて発表する年にしたいと思い3つの論文を書きました。猛禽類との共生のための,一資料として,今後使われるようになればよいなぁと思います。
写真は,稚内でワシ類の渡りの調査中のところ。
福田佳弘
.1965年大阪市生まれ。山梨・加賀・東京・天売島と流れ流れて,行き着いた先は知床半島斜里町のウトロ,移住してもう13年になりました。家の窓からはオホーツク海が見えオオワシ・オジロワシやケイマフリなども見え,時々シマフクロウの声も聞こえます。ケイマフリの調査と保護を中心に活動しています。昨年から環境省が中心となり「知床国立公園ウトロ海域における海鳥の保護と持続可能な海域利用検討会」がはじまりケイマフリを中心とした海鳥保護への一歩がはじまりました。写真は心身を鍛えるための活動写真です。
高田令子
.1972年北海道生れ。写真は、標識調査のために捕獲したタンチョウの幼鳥です。北海道の東部をメインに道内各地での様々な鳥類調査に携わっています。2004年と2008年に、風車に衝突したオジロワシの無惨な姿を目の当たりにしました。大きな体がスッパリと切断されていた光景は、今でも脳裏に焼き付いています。日本でも、鳥類のバードストライクへの関心が高まり、研究報告が増えつつあることを嬉しく思います。これらの研究成果が今後建設される風車だけでなく、既存の風車の事故防止対策等にも早急に役立てられることを強く願います。
佐藤重穂
.1964年大阪府生まれ。高知に来て14年になります。鳥や虫をはじめとして森林の生き物の暮らし方に興味をもっていろいろ調べていますが、不思議なことや十分に理解が及ばないことが次々に出てきます。地域の野鳥愛好家の方々と一緒に観察をする中で得られた貴重な記録を残していきたいと思います。
嶋田哲郎
.1969年東京生まれ。(財)宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団 主任研究員。鳥だけでなく,鳥以外の魚,植物などの調査や沈水植物の復元,バス駆除などの保全作業もしています。一見,鳥の研究とは直接関係ないように見えますが,鳥以外のことに目を向けることで,鳥へつながる新しい発見をすることがあります。
写真は,電気ショッカーボートに乗ってバス駆除をする著者(中央)
三田長久
.1947年大阪府生まれ。写真はオウチュウカッコウの声を録音した場所での再現写真です。5/1は学生の卒論のためのデータ集めで,キビタキの声を録音しようと思っていました。いつでも録音できるように,レコーダーは電源を入れて手に持つか腰に下げています。この上にも通路があるので,最初はだれかが口笛を吹いているのかなと思いましたが,ためらわずに録音ボタンを押したのが今回の成果になりました。宝くじでも買えば,という意見と,一生分の運を使い果たしたね,という意見があります。
佐藤隆士
.1971年生まれ。これまで生物を求めて各地を転々。各種生物の記録をまとめています。現在は兵庫県三田市在住の会社員。鳥関連では猛禽の巣とアカマダラハナムグリの関係に興味があります。
濱口京子
.仕事でアリについて調べています。最近はアリと関わる生き物たちについても勉強中です。アリと鳥では、クマゲラやアリスイの餌…と、アリの分が悪そうですね。鳥はビギナーですが,ヨタカやコミミズクが大好きです。
遠藤孝一
.1958年東京生まれ。オオタカを見始めて29年,電波発信機調査を行なうようになって15年。この経験から,目視調査ではオオタカの本当の行動は把握できない,と強く思っていました。一方で,環境利用に関する知見が蓄積されてきたので,環境情報をベースに実態に近い採食地の推定ができると感じていました。今回,植田さんががんばってくれて,ひとつの試案ができました。予想以上にいい線行っていると思ってます。皆さんからのご意見,ご批判いただければ幸いです。なお,この成果は近々行われる「猛禽類保護の進め方」の改訂に生かされます。写真は,電波発信機をつけたオオタカを放すところ。
三上修
.1974年島根県生まれ(写真右)。
三上かつら
.1975年宮崎県生まれ(写真左)。
2010年の4月に2人そろって岩手に引っ越しました。それまでは2人とも仕事先が、池袋だったものですから、野山に囲まれた場所にきてはしゃいでおります。家からちょっと散歩するだけで、シギチや猛禽が見られるのですから。今回ご報告した調査は、岩手にきて早速やってみた調査です。思ったよりもスズメに盗蜜されているサクラがあって、おどろきました。散歩のついでにできる調査ですので、どうぞお試し下さい。写真は、サクラの時期とは対照的ですが、岩手に来て初めての雪かき後の模様です。