季節前線ウォッチ

季節前線ウォッチ-鳥の初認と初鳴き調査-


対象とする鳥たち


 春の調査ではツバメ、カッコウ、ホトトギス、オオヨシキリ、アオバズク、キビタキ、オオルリの飛来日とウグイスとヒバリとメジロの初鳴き日,カルガモのヒナの初認日を記録します。
 秋の調査ではジョウビタキとツグミとミヤマガラスの飛来日とモズの初鳴き日,ヒヨドリの渡りの初認日を記録します。


  • ウグイスは、「ホーホケキョ」とちゃんと鳴いていた日をお知らせください。暖かい日に「ケキョ」とか「ホヶキョ」とかグチュグチュ鳴くことがありますが、そのような声を聞いた日はお知らせいただかなくて結構です。
  • ヒバリは秋や冬でも急に暖かくなったりすると一時的に少しだけさえずったりすることもあります。そういった場合は地上でさえずることが多いので、空を飛んでさえずっているのを確認した場合にお知らせください。
  • ツバメは家の軒先を飛び回って巣を作る場所を探すような行動をしているなど繁殖行動を初めて見た日を記録して下さい。上空を通過したのを見ただけの場合は記録していただかなくて結構です。
  • モズは、秋にはじめて高鳴きを確認した日をお知らせ下さい。


   
ウグイス

(春の初鳴き日を記録します)
全長14~16cm。スズメくらいの茶色い地味な鳥。ウグイス色ではなく、ウグイス色をしているのはメジロ。一年中日本にいる鳥だが、冬季は市街地などにもでてくる。おもに丘陵地帯から山にかけての地域で繁殖している。「ホーホケキョ」と鳴く。

□似た鳥(ウグイスと違う点)
ヤブサメ、○○ムシクイ、○○センニュウなどウグイスの仲間は何種もあり、姿はみなそっくりです。けれども「ホーホケキョ」と鳴くのはウグイスだけです。

ウグイスの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

ヒバリ

(春の初鳴き日を記録します)
全長17cm。スズメより少し大きい。頭に冠状の羽をもつ茶色い地味な鳥。一年中畑や河原などの草地に生息しているが春になると上空高くまいあがって1分以上にもなる長い歌をさえずる。

□似似た鳥(ヒバリと違う点)
高く舞い上がって、1か所にとどまるようにして長時間鳴いているのはヒバリだけです。そこに気をつければ、大丈夫。

ヒバリの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

ツバメ

(春の飛来日を記録します)
全長17cm。スズメくらいの尾羽の長い鳥。家や商店などに泥で巣をつくる。3月から5月くらいに日本に飛来する夏鳥。飛びながら飛翔性の昆虫を捕まえて食べる。

□似た鳥(ツバメと違う点)
コシアカツバメ:腰が赤く胸に線があります。ツバメの巣はおわん状で上が開いていますが、コシアカツバメの巣はとっくり状の入り口をしています。
リュウキュウツバメ:南西諸島で見たら、ツバメではなくたぶんこいつです。
イワツバメ:のどが白く腰も白い。ツバメの巣は上に隙間がありますが、イワツバメの巣は天井にひっついています

メジロ

(春の初鳴きを記録します)
全長10~12cm。スズメより少し小さく、羽はオリーブ色をしている。
ウグイスとよく間違われるが、目の回りに白いアイリングがあるのが特徴。一年中日本にいる。繁殖期には、なわばり内の木の梢などに止まって、複雑な節まわしで早口にさえずる。

□地鳴きとさえずりの違い
さえずりは、一息で歌われる一節が長く複雑で、一節ごとに違うレパートリーでさえずることが特徴。「長兵衛・忠兵衛・長忠兵衛・・・・」と聞きなされます。
それに対して地鳴きは,「チィー、チィー」、警戒声では「キリキリキリ・・・」という単純な声を繰り返します。
群れで行動する際には、地鳴きで頻繁に鳴き交わすため複雑な声に聞こえますが声がだんだん移動することでさえずりと区別できます。

メジロのさえずりを聞く
メジロの地鳴き(キリキリ)を聞く
メジロの地鳴き(チィー)を聞く

ノビタキ

(春の飛来日を記録します)
全長13cm。スズメ程度の大きさでオスは黒い頭とオレンジ色の胸が目立つ。本州では高原の草原で,北日本から北海道にかけては草原や農耕地帯で見られる。

□似た鳥
声による識別は難易度が高いので,こんな声が聞こえたら,姿を確認してみてください。

ノビタキのさえずりを聞く MP3形式

ツツドリ

(春の飛来日を記録します)
全長33cm。ハトをスマートにして尾を長くした感じ。全国の山の森林に夏鳥として渡来する。「ポポ ポポ」という特徴的な声でいることがわかる。カッコウやホトトギスよりも早く,4月下旬から5月上旬に飛来する夏鳥。おもに毛虫を食べる。

□似た鳥(カッコウと違う点)
カッコウとホトトギス:姿はそっくりですが、鳴声がまったく違います。カッコウは「カッコウ カッコウ」と言う声で、ホトトギスは「キョッキョッ キョキョキョキョ」と鳴きます。

ツツドリの鳴声を聞く MP3形式

カッコウ

(春の飛来日を記録します)
全長35cm。ハトをスマートにして尾を長くした感じ。「カッコウ、カッコウ」という声でいることがわかる。5月くらいから日本に飛来する夏鳥。おもに毛虫を食べる。

□似た鳥(カッコウと違う点)
ツツドリとホトトギス:姿はそっくりですが、鳴声がまったく違います。ツツドリは「ポポ ポポ ポポ」と言う声で、ホトトギスは「キョッキョッ キョキョキョキョ」と鳴きます。

カッコウの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

ホトトギス

(春の飛来日を記録します)
全長28cm。カッコウよりも一回り小さい。「キョッキョッ キョキョキョキョ」とけたたましい声で鳴く。5月くらいから日本に飛来する夏鳥。おもに毛虫を食べる。

□似た鳥(ホトトギスと違う点)
ツツドリとカッコウ:姿はそっくりですが、鳴声がまったく違います。ツツドリは「ポポ ポポ ポポ」と言う声で、カッコウは「カッコウ、カッコウ」と鳴きます。

ホトトギスの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

オオヨシキリ

(春の飛来日を記録します)
全長18cm。スズメより大きめの鳥。ヨシ原などの草原に夏になるとやってくる鳥。「ギョギョシ ギョギョシ ケケケケケシ」などとけたたましい声で鳴く。

□似た鳥(オオヨシキリと違う点)
コヨシキリ:声は似ているが,けたたましいオオヨシキリとはちがって,コヨシキリは小鳥っぽいきれいな声。姿はコヨシキリには黒い眉線があるが,オオヨシキリにはない。

オオヨシキリの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:平野敏明氏)
コヨシキリの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

アオバズク

(春の飛来日を記録します)
全長29cm。モズくらいの小型のフクロウ。一見、フクロウというよりもタカのように見える。4月下旬くらいから日本に飛来する夏鳥。神社などの森にすみ、夜暗くなると「ホッホゥ ホッホゥ ホッホゥ・・・」と鳴く。

□似た鳥(アオバズクと違う点):
フクロウも夜に鳴くところが似ていますが、アオバズクが「ホッホゥ ホッホゥ ホッホゥ・・・」と単調に鳴くのに対して、フクロウは「ホッホ ホホッホホッホ」とリズムのある鳴き方をします。

アオバズクの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

キビタキ

(春の飛来日を記録します)
全長約14cm。スズメより少し小さい。全国の平地から山地にかけて夏鳥として渡来する。オス成鳥は喉から腹、腰の黄色が目立つ。複雑な声でさえずる。

□似た鳥(キビタキと違う点):
キビタキのオスは黄色い眉斑がはっきりしているがムギマキのオスの眉斑は白い。キビタキよりも早口でさえずる。

キビタキの鳴声を聞く MP3形式
ムギマキの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:梶本恭子氏)

オオルリ

(春の飛来日を記録します)
全長約16cm。スズメより大きい。九州から北海道の平地から山地にかけて夏鳥として渡来する。オス成鳥は頭から背が濃い青で、顔と喉が黒く腹は白い。ヒーリューリュ― ジジッ など、さえずりの最後に濁った声を出すことが特徴。樹のてっぺんでさえずることが多い

オオルリの鳴声を聞く MP3形式

カルガモ

(ヒナの初認日を記録します)
全長61cm。全国の河川や湖沼,池などで繁殖している。

□注意点
右の写真のような,小さなヒナをはじめて見た日を記録してください。大きくなってはじめて発見した場合は情報はお送りいただかなくて結構です。


モズ

(秋の初鳴き日を記録します)
全長20cm。スズメより大きめの鳥。一年中日本にいる。秋に冬のなわばりをつくるために、「高鳴き」と呼ばれる声で鳴きはじめる。「キィキィキィキィキィッ」という声で鳴くがところどころにほかの鳥の鳴き真似が入ることがある。昆虫や両生は虫類などをおもに食べるが小鳥や小型のネズミなどもたべる。

□似た鳥(モズと違う点)
アカモズ・チゴモズ:これら2種は夏鳥なので秋には一部南西諸島をのぞいていなくなっています。アカモズはよく似ていますが、頭から背中にかけて一様な赤茶色をしていてお腹が真っ白な点がモズと違います。

モズの鳴声を聞く MP3形式(音源提供:松田道生氏)

ヒヨドリ

(渡りの群れの秋の初認日を記録します)
全長28cm。留鳥だが,春と秋には群れを作って渡っていくのが見られる。このうち,秋の渡りの初認日を記録してください。

□似た鳥(ヒヨドリと違う点)
ほかにも群れになって飛ぶ鳥はいますが,ヒヨドリは,羽ばたいたり,翼を閉じて休んだりしながら飛ぶので,横から見る,まっすぐではなく,波状に飛んでいるのが特徴。

ミヤマガラス

(秋の初認日を記録します)
全長44~47cm。ハシボソガラスよりもやや小さいカラス。嘴は黒くて湾曲が少なくニンジンのような形状で、基部が白い。若鳥はこの白い部分が黒い羽毛で覆われていて、ハシボソガラスとの識別が難しい

□似た鳥(ミヤマガラスと違う点)
ミヤマガラスの成鳥はくちばしの基部の羽がなく,白くなっている点が違いますが,若鳥はハシボソガラスとよく似ていて,ならないと見分けは困難です。自信がない場合は成鳥をみてからご報告ください
(識別の詳細はこちら

ジョウビタキ

(秋の初認日を記録します)
全長14cm。スズメくらいの鳥。雄は胸から腹にかけてがオレンジ色で、頭が銀色。雌は褐色の地味な色をしている。10月頃から日本に飛来する冬鳥。「ヒッ ヒッ ヒッ」と鳴く。おもに木の果実や虫などをたべる。

□似た鳥(ジョウビタキと違う点)
ジョウビタキの雄に似た鳥はいませんが、ルリビタキの雌はジョウビタキの雌とよく似ています。ジョウビタキの雌は翼に白い紋があり、尾羽がオレンジっぽいところが特徴です。でも似てますので、自信がなかったら見なかったことにしましょう。

ツグミ

(秋の初認日を記録します)
全長24cm。ムクドリくらいの鳥。11月頃に日本に渡ってくる冬鳥。顔が黒褐色で眉に白い線があり、翼は赤褐色であるが、個体差が大きい。「クヮ クヮクヮ」と鳴く。木の果実や虫などをたべる。地上をピョンピョン跳ねては立ち止まる。という行動をとっていることが多い。

□似た鳥(ツグミと違う点)
ムクドリ:くちばしがオレンジっぽい色です。腰が白く、ツグミがピョンピョン跳ねるのに対して、トコトコと歩きます。「リャーリャー」と鳴いて、少々がさつで品のない感じがします。ツグミは臆病者な感じ。
シロハラ:ツグミのようなしっかりとした眉の白い部分がありません。全体的に褐色のメリハリのない単調な色合いをしています