霞ヶ浦環境科学センター(茨城県土浦市)

2013年11月30日 土曜日



環境省が実施している重要生態系監視地域モニタリング推進事業(モニタリングサイト1000)のガンカモ類調査交流会を、11月30日に茨城県土浦市で開催しました。

【交流会の録画をUstreamで見ることができます】


1. 日時 2013年11月30日(土) 13:00〜17:00
2. 会場 霞ヶ浦環境科学センター(茨城県土浦市)
 交通はこのページの最下部をご覧下さい。
3. 参加費 交流会は事前申し込み不要、参加無料です。

懇親会 11月30日18:00−20:00。交流会終了後に土浦駅周辺で懇親会を行います。
エクスカーション
(参加無料)
12月1日(日) 稲波干拓のオオヒシクイ越冬地の他、霞ヶ浦周辺の鳥の多い場所を見に行きます。車はこちらで準備しますが、自家用車で一緒に来られても結構です。

9:00土浦駅東口出発。蓮田や稲波干拓のオオヒシクイ越冬地を見学。13:00ごろ土浦駅で一度目の解散。その後希望者で浮島のチュウヒ塒を観察して17:00ごろ土浦駅で解散。
   

交流会プログラム


全国規模の生態系調査「モニタリングサイト1000」について 【環境省】
 モニタリングサイト1000は、我が国の代表的な生態系(高山帯、森林・草原、里地里山、湖沼、湿原、砂浜、磯、干潟、アマモ場、藻場、サンゴ礁、小島嶼)に1000箇所程度の調査サイトを設置し、長期的なモニタリングを行うことで日本の自然環境の変化をいち早く把握することを目的としたプロジェクトです。

全国の話題

モニタリングサイト1000ガンカモ類調査について 【神山和夫(バードリサーチ)】
 2004年からスタートしたモニタリングサイト1000ガンカモ類調査で分かったことのハイライトをご紹介します。

日本におけるコクガンの個体数と分布 【嶋田哲郎(宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団)】
 コクガンは,北極圏のツンドラで繁殖し、冬鳥として10月以降北海道東部の野付半島を中継したのち、函館湾や南三陸沿岸などで越冬します。浅い海や内湾などを利用し、越冬期にはアマモやアオサ類、アオノリ類などを採食します。国内で越冬するコクガンの個体数と分布についてと、彼らの生息状況について紹介します。

ハクチョウ類の国内移動、幼鳥率と繁殖成績について 【神山和夫(バードリサーチ)】
 コハクチョウは10月上旬、オオハクチョウはそれより少し遅れて日本に渡ってきて、5月の連休ごろまで日本に滞在しますが、その間の国内移動についてご紹介します。それからハクチョウ類の幼鳥は灰色をしていますが、その年の幼鳥の数はロシアでの繁殖成績に連動していて、幼鳥数の多い年は、北極圏近くの繁殖地の気温が高いことが分かりました。気候と繁殖の関係について、これまでに分かったことをお話しします。


ガンカモ類の外来種〜現状とその関わりかた〜 【呉地正行(日本雁を保護する会)】
 日本で観察されるガンカモ類の中には、本来は日本に生息しない種が何らかの理由で国内で野生化してしまったものがいます。この代表が、コブハクチョウ、コクチョウ、カナダガンです。これらの鳥は愛らしい水辺の風景として受け入れられていることが多く、日本固有の生態系に悪影響を与える「いては困る」外来種としての認識は希薄です。ここでは国内のガンカモ類の外来種の概況を述べ、それを踏まえ外来種とどのように関わったら良いのかについて、その成功事例も紹介し、今後に向けての提案も行いたいと思います。


茨城県周辺の話題

茨城県のモニタリングサイトについて
 ・北浦 【岩本昌憲(潮来野鳥の会)】
 ・霞ヶ浦高浜入 【明日香治彦(日本野鳥の会茨城県支部)】
 ・霞ヶ浦江戸崎 【茂木光雄(江戸崎雁の郷友の会)】
 ・涸沼 【池野進(日本野鳥の会茨城県支部)】


茨城県のモニタリングサイト

茨城県43年のガンカモの推移 【池野進(日本野鳥の会茨城県支部)】
 日本野鳥の会茨城支部(現日本野鳥の会茨城県)は、環境省による1月のガンカモ科鳥類一斉調査を初年度の1970年から茨城県の委託事業として行っている。全県下17ヶ所で18種31,000羽強から始まった調査は、43年後の2013年には134名による70ヶ所で26種126,500羽弱の規模へと大きく発展した。環境省にも残っていないという長期データから大きな湖沼のカモ類の浮沈を見、大湖沼でのモニタリングのあり方を考える。

手賀沼のカモ類減少の原因と、霞ヶ浦のカモ類の主役交代 【渡辺朝一】
 千葉県手賀沼では、2000年代に入り、マガモ、カルガモ、コガモの3種が大きく減少しました。稲刈り後に秋耕が行われる水田の比率が特に高まったのが2000年代であるため、秋耕の普及が、上記3種の現象の原因となった可能性があります。一方、霞ヶ浦では1980年代まで多かったスズガモ属などの潜水採餌カモ類は大きく減少し、現在はマガモ属を中心とした種構成に変化しています。霞ヶ浦のような社会的重要性が高い水域では、モニタリングデータを有効活用する必要があるでしょう。


東日本大震災の影響

古徳沼のオオハクチョウと震災後一時的に蘇ったマコモの群落
 【植竹孝(日本野鳥の会茨城県支部)】
 オオハクチョウが古徳沼で初めて越冬したのが1966年冬と記録されています。当時は沼にはマコモ、ヨシを中心とした群落が自生していたようです。古徳沼のオオハクチョウの越冬数の増加により沼の植生も大きく変化しマコモは見られなくなりオオハクチョウの餌は主に給餌によるものとなりました。給餌を控える運動が始まり給餌量が減ると古徳沼から数kmの範囲で田圃や畑で採餌する風景がみられるようになりました。2011年東日本大震災が発生、古徳沼の堰堤も欠損し、決壊の恐れがあると急遽排水が始まりました。夏場の渇水期に沼一面にマコモが甦生、10月末工事完了で水が貯められると草原のような景観が戻り、越冬で渡ってきたオオハクチョウの憩いの場所となって賑わいました。しかし、2012年古徳沼の水が通年満水で経過するとマコモは再び休眠に入ってしまいました。



震災影響調査について 【環境省】
 東北地方太平洋沖地震による自然環境への影響把握のため、青森県から千葉県までの沿岸地域において調査を実施しました。津波浸水域約570km2で実施した植生の改変状況調査では、海岸林の大規模な消失や新たな湿地の出現などを確認したほか、砂浜・泥浜の自然海岸の改変状況調査では、仙台湾等における砂丘植生の顕著な減少等を確認しました。また、アマモ場、藻場、干潟、海鳥繁殖地で動植物のモニタリング調査を行い、地形の攪乱による種組成の変化等を確認しました。

会場のご案内 霞ヶ浦環境科学センター

茨城県土浦市沖宿町1853 電話:029-828-0960(代表)
ホームページ


最寄り駅から
■バス
 JR土浦駅から関東観光バスの路線があります。本数が少ないので、ご注意下さい。
 時刻表のオレンジ色が、交流会に都合のいい便です。

土浦駅東口発 センター着 センター発 土浦駅東口着
8:05 8:30 8:40 9:10(西口)
10:10 10:30 10:40 11:00
12:10 12:30 12:40 13:00
14:40 15:00 15:10 15:30
16:40 17:00 17:20 17:45
(土日休日の時刻表)

■タクシー
 JR土浦駅東口からタクシーを使えば、約15分でセンターに着きます。


車をご利用の場合
 常磐自動車道 土浦北ICから約15分
 国道354号線 霞ヶ浦大橋から車で約25分